現場のトップと下請け会社の関係性が疑問視される中、事態はさらに急展開。Z組の「作業員水増し」が発覚する。
別の下請け会社の作業員が、Z組の作業員の名前が書かれた作業日報を見たところ、見知らぬ名前が2人記載されていたというのだ。
「その人物の名前について現場で知っている人はおらず、当然ですが作業実態もなかったんです。それをZ組の関係者にさりげなく聞いたところ、『S所長の命令でやっている』と漏らしたので驚きました」(前出・B氏)
まだ他にも架空の名前があるか探したところ、知らない名前が2、3人出てきたという。
「作業員を水増しして申告していれば、架空人物の給与などの支払いがされていることを意味します。作業員の年収は500万円ぐらい。4年ほど前から行われていたと見られ、架空の人物1人につき計2000万円もの額に上ります。キックバックとしてS所長が全額懐にしまい込んでいるのか、Z組が何割か手数料を取っているのか、細かい取り分まではまだわかりません」(前出・B氏)
ゼネコンのS所長に「架空請求」疑惑が浮上しただけでも、現場の作業員たちには納得できる話ではない。それでもZ組との「蜜月関係」を“証明”するような出来事は、これだけでは終わらなかった。ある工事関係者が証言する。
「S所長が新車のプリウスに乗っていたのですが、新潟の長岡ナンバーでした。実は、Z組の会社は新潟にあるんです。それで、『作業員の水増し』の話が現場で広まると、Z組から長岡ナンバーの新車がプレゼントされたのではと噂に上り、慌てて所長はいわきナンバーに変更していました」
下請け会社から乗用車の提供を受けていたと疑われてもしかたないだろう。そればかりか、現場では女性関係の話も「公然の秘密」として語られていた。
「S所長には、周囲から“愛人”と言われている韓国人の女性がいます。マンションを買い与えたり、いわき市内にあるクラブの資金をその女性のためにポンと出したとか。他のゼネコンの間でも知られた話で、店の名前を聞けば、『そこの店はS所長がやらせているところだよね』と言うほどです」(前出・工事関係者)
休日にゴルフコンペをしたあとには、その店で宴会をすることも多いという。
実際、いわき市内にあるその女性の店に取材をすると、カタコトの日本語を話す女性の声が電話口から聞こえてきた。
──福島第一原発の方がよく利用される店だと聞いたのですが。
「最近は少なくなったけど、来ますよ」
──この店はS所長がオーナーなのですか?
「‥‥違う。ママは私。オーナーも私」
S所長が今でもたびたび店に訪れることは認めたが、そのあとは質問する前に何度も記者の名前と会社名を確認して、沈黙してしまった。
親密な女性のもとへ通い詰める懐事情はさておき、S所長のオンナ遊びについて、前出の工事関係者がZ組の作業員から聞いた話として、こう教えてくれた。
「(Z組の)社長がS所長から、デリヘルで女性を用意してほしいと“おねだり”されたことが何度かあった。いつも決まったホテルで、その遊び代もZ組が持っていると言っていました」
ここまで来れば単なる仕事上の関係ではなく、下請け会社との「一線」を越えているとしか思えない。