まるでオセロゲームの大逆転劇のように結末がまったく違うドラマもある。アッと驚きの別エンディングを発見!
「倍返しだ!」の決めゼリフが流行語大賞になるほど大人気だった「半沢直樹」(13年・TBS系)。最終回は今世紀ドラマ史上最高の視聴率42%を叩き出した平成のモンスタードラマだ。
その最終回、香川照之(51)演じる大和田常務の土下座シーンはいまだに語り継がれる名場面だが、その後、大和田常務には軽い降格処分、反対に堺雅人(43)演じる半沢は子会社に出向というまさかの処分が下る。ラストシーンで眉間にシワを寄せた半沢以上に、視聴者にも納得のいかない幕切れだった。
週刊アサヒ芸能は放送直後「最終回には幻のラストがあった」とスクープしたが、その後発売されたDVDディレクターズカット版では、その幻のラストが確認できる。
「半沢、ちょっと待てよ」
「まさか出向か?」
辞令を受けて険しい顔で階段を下りる半沢に、同期の二人が追いすがる。
「お前、まさか辞めるつもりじゃ」
肩をつかまれた半沢がようやく立ち止まると、
「飲みにでも行くか」
と、潤んだ瞳の笑顔を見せ、三人並んで階段を下りていく。戦い敗れてもなお、くじけずに立ち上がる力強い男の姿を彷彿させるのだ。
コラムニストのペリー荻野氏がこの結末について解説する。
「当時はパート2への布石だと思いましたが、すでにドラマ放送から4年もたつだけに、続編の可能性は低そう。あの長~い土下座シーンがどうしても切れず、DVDでは、半沢と同期の行員との友情の場面を入れる原作に近い形で締めくくったのかもしれません」
同様に綾瀬はるか(32)が主演の「白夜行」(06年・TBS系)も、最終回に初恋の相手が非業の死を遂げ、ラストシーンはうつむく綾瀬で幕切れとなる。ところが「完全版」とうたわれたDVDでは、その後、綾瀬はタクシーに乗り込み、
「成田まで」
と、海外で新しい人生へ旅立つ姿を印象づけている。
ドラマ評論家の成馬零一氏がさらに同様のケースを紹介する。
「映画では、主人公がくっつくパターンと別れるパターンを両方作る場合があるが、ドラマでは正反対になった例に『ロングバケーション』(96年・フジ系)があります。最初は主役の二人が別れる話だったが、あまりにも人気が過熱したので、途中でハッピーエンドに脚本が書き換えられました」
「ロンバケ」同様、木村拓哉(44)が主演した「眠れる森」(98年・フジ系)も、プロット段階ではハッピーエンドだったが、木村が「ラストに死にたい」とこだわったため、シナリオが書き換えられたという。
今年1月放送の「カルテット」(TBS系)でも、最終回の別テイクがあった。
「行方不明になった松たか子(40)をカルテットの他の三人のメンバーが探し当てる場面で、思いを寄せる松田龍平(34)が松を抱きしめるシーンが撮られたそうです。しかし結局、放送では使われなかった。7月に発売したDVDにはこうした未公開シーンが2時間も収められています」(ドラマ関係者)
最後に、前出・ペリー氏がこう締めくくる。
「最近のドラマは、同じ場面を何度も流れで撮る“素材撮り”をすることが多い。それだけに、今後、未放送シーンを盛り込んだディレクターズカット版は増えるはず」
アサ芸的には、未公開ベッドシーンのカットにも期待したい。