今週は3日間開催。関東におけるメインは、セントライト記念だ。伝統ある一戦で菊花賞のトライアルレース(3着までに優先出走権が与えられる)。
ただ、関西で2つあったそれが神戸新聞杯に統合され、距離が2400メートルに変更されて以降、セントライト記念で勝ち負けして本番でも──という馬はきわめて少なくなった。
一昨年の勝者キタサンブラックが勢いに乗って、そのまま菊花賞馬になってはいるが、あとはホオキパウェーブ(04年2着)、スカイディグニティ(12年2着)ぐらい。本番の舞台が関西だけに、重きは神戸新聞杯に明らかに移行したと言えるだろう。
が、今年の顔ぶれは、なかなかだ。皐月賞馬アルアインを筆頭として、ラジオNIKKEI賞を制した無敗のセダブリランテスなど、将来を嘱望されている好素材がそろっている。そうした値踏みを含めて、実に注目すべき菊の前哨戦と言っていいだろう。
このレースに馬単が導入された02年以降、これまでの15年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連2回)。この間、1番人気馬は5勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着4回)。そう大きく荒れることは少なく、実績ある有力どころは、軽く見てはいけないことがわかる。
例えば、有力候補の一角アルアインは、2000メートル前後がベスト距離と見られ、ここで勝ち負けしても長丁場である菊花賞に向かわない公算が大きい。そうであれば、よけいにここは単なるステップ台と見るべきではないだろう。
それでも前述したように今回は好素質馬ぞろい。ここにきて大きく成長してきた馬が多く、実績で勝っているからといって、額面どおり有力どころに高い評価を与えていいかどうかは微妙なところだ。
とにもかくにも、人気勢は休み明けが多く、本番の出走権をほぼ得ている。であれば、ここで全力投球ということはしないだろう。3着以内に入って何としても菊花賞の出走権を──という馬に目をつけるのが、馬券の筋ではないか。
狙ってみたいのは、そんな1頭であるスティッフェリオだ。
まだひ弱さが抜け切れず、完成途上。が、それでも素質はかなりのもの。厩舎では早くから期待されていた逸材なのだ。1000万クラスの条件馬で、それも前々走で500万条件を勝ち上がったばかり。アルアインなど一線級と互角に渡り合えるのか疑う向きも多いとは思う。が、前述したように好素質の持ち主であることは確か。
「ここにきて、少しずつだがたくましくもなってきたし、ここ目標に前走を上回る状態。脚質に幅が出てきたのも成長の証し。3歳馬同士なら、そう差はないはず」
こう音無調教師が期待を込めるほどだ。
母は短距離で活躍したGI勝ち馬で、近親にもマウントアブ(GIフォレ賞)など走った馬は少なくない。大一番に強いステイゴールド産駒ということからも“一発”があって不思議ない。
穴は、サンシロウだ。前走から中1週ということで出否は五分五分だが、ゴーサインが出るようなら大きく狙ってみたい。
この馬も500万条件を勝ち上がったばかりだが、「春とは見違えるばかり。脚元がパンとしてたくましくなり、思いどおりの調整ができるようになった。今後が楽しみな馬」と、柄崎調教師が期待を込める。
こちらもかなりの素質馬。大駆けがあって不思議ない。