お笑い業界でまことしやかに囁かれるジンクス、それは“覇者不発説”だ。芸人の世界には年に3度のメジャーコンテストがあり、春はピン芸人の「R-1ぐらんぷり」、秋はコントの「キングオブコント」、冬は漫才師の「M-1グランプリ」が、ゴールデンタイムにそれぞれ、フジテレビ、TBS、テレビ朝日系列で、全国ネット生放送されている。どれも優勝すれば売れっ子間違いなしだったが、ここ数年は、それが覆されているという。お笑い事情に詳しいコラムニストに話を聞いた。
「その傾向が顕著になったのは、2008年の『M-1』。優勝したのはNON STYLEでしたが、翌年からドカンと売れたのは準優勝のオードリー。以降、同じ現象が続きました。09年はパンクブーブーが優勝しましたが、売れたのは初出場のハライチ。第1シーズンの最後となった10年は、笑い飯が有終の美を飾りましたが、翌年売れっ子になったのはスリムクラブ。幸か不幸か、準優勝以下がブレイクし、テレビタレントとして今も引っぱりだこです」
漫才ですらこんな状況で、コント職人の世界はもっと悲惨。「キングオブコント」は今年が記念すべき第10回だが、過去9組の覇者のうち、今でも全国区でテレビを舞台に活躍しているのは09年優勝の東京03、11年のロバート、12年のバイきんぐのわずか3組。10年のキングオブコメディにいたっては、高橋健一が15年に女子高生の制服などを窃盗して逮捕され、コンビは解散している。
「さらに『R-1』に目を移せば、初年度覇者のだいたひかるは不貞疑惑が浮上して離婚しテレビから消え、その後再婚しましたが、早期の乳ガンが発覚。現在は復帰していますが、一時はかなり大変だったようです。05年のほっしゃん。(星田英利)は昨年、引退を示唆して即日撤回するという“引退騒動”を起こしてからはパッとしない。07年と08年の2連覇を唯一達成したなだぎ武は、友近との破局後、『売名彼女』に引っかかってしまいました。09年の中山功太、14年のやまもとまさみはバイト生活に転落。今年の優勝者であるアキラ100%は今でこそ多忙ですが、時間の問題と見られています」(前出・コラムニスト)
年末の「M-1」に向けて現在、予選が開催中。ジンクスを打ち破ってくれるコンビが出てくれることを願うばかりだ。
(北村ともこ)