近藤 日本高血圧学会は高血圧に該当する基準値を上が140以上、下が90以上と定めています。年齢にかかわらず一律に基準値を定めてしまっている点が、まずデタラメ。しかも、その日本高血圧学会が実施した比較試験では、血圧を薬で確実に下げた人ほど死亡率が高くなったという、何とも皮肉な結果が出ているのです。にもかかわらず、いまだに基準値を改めようとしないのは、降圧剤を飲む患者が減ってしまうのを恐れているためでしょう。
── ただ、血圧が高いと脳出血を起こしやすい、とも言われていますが。
近藤 それは原因と結果を取り違えた話です。実は血圧が低い人でも、脳出血を起こすと血圧が高くなるのです。脳出血で病院に担ぎ込まれた患者の血圧が一様に高いのを見て、高血圧が脳出血を引き起こした、と勘違いしてしまったわけです。血管が年相応の頑丈さを維持していれば、多少血圧が高くても脳血管が破れることはありません。しかも、血圧降下薬で無理に血圧を下げるとボケやすくなる、というリスクまで抱え込むことになります。
── ということは、同じことがコレステロール値や中性脂肪値、血糖値などに当てはまったりも!?
近藤 日本動脈硬化学会や日本糖尿病学会が、自分たちに都合のいいデタラメな基準値をでっち上げていること、その基準値まで薬を使って悪玉コレステロール値や血糖値などを下げるとむしろ死にやすくなることなど、いずれも構造、カラクリは同じです。コレステロールについていえば、悪玉も含めて、ヒトの細胞を包む細胞膜の原料などになる主要成分です。これを薬で下げてしまうと、細胞の丈夫さが失われて、がんや脳卒中などで死ぬリスクが高まります。同様に、悪玉コレステロール値や中性脂値が高い人ほど長生きすること、日本動脈硬化学会の言う「異常高値」の人たちが最も長生きであることなども、健康な人たちを対象にした日本の大規模調査で明らかになっています。
── 血圧の話に戻りますが、高血圧に伴う脳卒中や心臓病、腎臓病などの元凶は塩分だとされていますよね。これについては‥‥。
近藤 塩分もまた、誤った健康常識の典型例です。日本高血圧学会は1日当たりの塩分摂取量を6グラム未満と定めたうえで、この基準値はあくまでも中間目標にすぎないと付言しています。そして、国(厚生労働省)が定める基準値(男性8グラム未満、女性7グラム未満)も手ぬるいとして、本当は自分たちが定めた6グラム未満よりずっと少ないのが理想的と主張していますが、いずれも確たる科学的根拠を欠くデタラメ、デマです。