4月から放送されたドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日)が9月29日、最終回を迎えた。
「老人にも若い頃があり、人を愛し、家族を持ち、それが現代の人々につながっている。脚本家の倉本聰氏がこのドラマで描いたメッセージの一つです。震災や原発、高齢者の運転免許、大原麗子さんの孤独死、戦争など暗い問題が盛り込まれていましたが、時にはコミカルに風刺していたので観ていて疲れませんでした」(テレビ誌ライター)
極道と芸能界の関係など、今ではご法度のタブーにも切り込んだ。「やすらぎの郷」創始者が亡くなる前につぶやいたのは「大笑い 三十年の馬鹿騒ぎ」という実在した極道の辞世の句だ。
「登場人物はみんな喫煙者(笑)。こんなドラマはもう今後は許されないでしょう」(エンタメライター)
昼にドラマ枠を作ったことだけで画期的だったが、CMを極力入れず、最終回は45分に拡大、中島みゆきが歌う主題歌「慕情」をある日は冒頭で、ある日はエンディングで2番だけをかけるなど自由なドラマ作りも魅力だった。
「主題歌も売れているし、ドラマのDVD化も決定しました。半年という長丁場のドラマだけに見返すことで『脚本家・倉本聰』のメッセージがより理解できるはずです。12月から発売が始まるDVDは、かなり売れるのではないでしょうか」(前出・エンタメライター)
視聴者やスポンサーの顔色をうかがいながらの番組作りが行われる現代でこのようなドラマが放送されたことは、ある意味、奇跡だったのかもしれない。
(笠松和美)