セ・パともに、首位チームが独走でのリーグ優勝を果たし、その意義が問われるポストシーズン「クライマックスシリーズ」(以下、CS)の争い。広島が2位と10ゲーム差、ソフトバンクが2位と13.5ゲーム差とあっては、その議論が巻き起こるのも仕方なし、というシーズンだったが、両チームとも気を引き締めてCSに臨まなければならない。
ちなみに、2004年から06年までパ・リーグのみで行われていたプレーオフでは、3度とも2位以下のチームが「優勝」となったが、セ・パ両リーグとも導入された07年以降、CSで2位以下のチームが勝ち抜いた「下剋上」の例は3度ある。
[07年 中日ドラゴンズ]
ファーストステージ(旧称・第1ステージ)で阪神を破った中日が巨人に挑んだファイナルステージ(旧称・第2ステージ)で、当時の中日・落合博満監督のマジックが炸裂する。1Sの第2戦で中継ぎ登板した小笠原孝が2S初戦で先発のマウンドに。巨人は山井大介を予想していたが、左投手の小笠原の前にプランが狂い、そこから一気に三連敗。この巨人の惨敗を機に、1位チームに「1勝のアドバンテージ」が設けられるようになった。その後、中日は日本シリーズも制覇。山井の「完全試合寸前降板」が起きたのも記憶に新しい。
[10年 千葉ロッテマリーンズ]
人呼んで「史上最大の下剋上」。いまだ、3位からのCS制覇はこの年のロッテのみ。1Sでは2試合続けての延長線突入も連勝で西武を下し、2Sでは、ソフトバンクに王手をかけられてからの3連勝で制覇。その後の日本シリーズでも、中日を相手に第6戦の延長引き分けを含む大激戦の末に勝利し、史上最大の下剋上を成立させた。この時点で、1974年以来、ロッテは40年近く優勝していないのに、5年の間に2度、日本一になっているという珍現象に。
[14年 阪神タイガース]
このCSの阪神は一味違った。広島との1Sを無失点で突破すると、宿敵・巨人相手に4連勝で制覇。守護神・オ・スンファンのCS6連投、ゴメス、マートンら助っ人勢が大爆発し、歓喜の日本シリーズ進出を果たしたのだ。その後、1勝4敗でソフトバンクに敗れた日本シリーズの記憶を失うほど、巨人を圧倒的に叩きのめした喜びに、阪神ファンは打ち震えた…。
14日から始まるCSは、セ・リーグ3位・横浜DeNAと2位・阪神、パ・リーグ3位・楽天と2位・西武との対戦で始まる。1Sの勝者が圧倒的戦力を誇る広島、ソフトバンクにどう挑むのか、目が離せない。