10.26がドラフト史に残る日になる! 89年に8球団から1位指名を受けた野茂英雄を超える「10球団競合」との予想も飛び交う清宮幸太郎。高校通算111本のホームランを放った怪物を巡る、ドラフト会議直前のバックネット裏情報を緊急レポートする。
10月2日、東京・国分寺市にある早稲田実業に、プロ野球10球団の幹部、スカウトら30人が順繰りに訪れ、ドラフトの目玉・清宮幸太郎(18)と面談を行った。
スポーツ紙記者が当日の状況を明かす。
「広島、日本ハムを除く10球団が“清宮詣で”を行った。各チームはスカウトマンが作成した清宮の分析データや、高卒ルーキーの育成プランなどの極秘資料を持ち込み、清宮獲りのアピールに必死でした」
大挙したプロ関係者に相対したのは清宮本人以外に、ヤマハ発動機ラグビー部監督の父・克幸氏(50)、母・幸世さん、早実野球部長の4人だったという。
「当然ながら、いずれの球団も清宮を高評価したものでしたが、異彩を放つプレゼンを行ったのが中日です。他チームが資料を持ち込んで清宮を礼賛する中、資料なしの“手ぶら”で面談に臨んだスカウト部長は『チームがこういう状況なので、清宮君がどうしても必要だ!』と観客動員数が落ち込んでいる状況を逆手に取る泣き落とし作戦。これはかなりインパクトがあったらしく、冷静な判断力を持つ清宮パパも心をグラリと動かされたようです」(前出・スポーツ紙記者)
反対に、手土産作戦が功を奏したのが千葉ロッテ。
「チーフスカウトが自社製品のお菓子の袋詰めを2つ持参し、『よかったら皆さんでお召し上がりください』と手渡した。最終10番目の面談で疲労が見えた清宮家の疲れがすっ飛び、一家がマリンスタジアムで観戦した思い出など話が弾んだようでした」(前出・スポーツ紙記者)
朝9時から夕方5時まで行われた“密室面談”を終えると、清宮家は会見を開かずに学校を後にしたという。在京球団のスカウトが打ち明ける。
「面談では克幸氏から質問が出る機会が多く、西武に関しては、『球団施設が老朽化している』、ヤクルトに関しては『なぜケガ人ばかり出るのか』など質問が出ていた。面談後、各チームのスカウト間で情報交換が行われたが、最終的な進路の決断に克幸氏の意向が強く働くことは間違いないという結論になった」
克幸氏は弱小ヤマハを優勝に導いた名将であるばかりでなく、野球界にも幅広い人脈を持っている。
「早大同期の小宮山悟氏(52)のほか、原辰徳氏(59)、日本ハム・栗山英樹監督(56)、楽天・星野仙一副会長(70)などいずれも球界の大物たちと懇意です。阪神ファンとしても知られますが、金本知憲監督(49)とは昨年、雑誌の対談で意気投合した仲。また早実にはプロ野球OBの子息も多く、各球団に関して事前にかなりの情報をキャッチして、球団幹部らに質問攻めして舌を巻かせていた。中には叱責に近い意見を熱心にされ、退出してから不服そうな表情の球団幹部もいた」(前出・在京球団スカウト)
たとえドラフトで交渉権を獲得しても、その先には屈強なラガーマンが立ちはだかるのである。