横浜DeNAベイスターズがセ・リーグのクライマックスシリーズ・ファイナルステージに勝利し、2010年の千葉ロッテ以来の3位チームによる日本シリーズ出場権を獲得した。
これをして各メディアは「史上最大の下克上」と一斉に報じたわけだが、この言葉の言い出しっぺ、10年の優勝メンバーである現・プロ野球解説者の里崎智也氏がツイッター上で「『史上最大の下克上』使い方間違ってる人がいるんだよな~!日本シリーズ制覇して、日本一になって『史上最大の下克上』になるわけで、まだ途中なんだよな~!この言葉は俺が考えた言葉だから、俺が正しいとは思うんだけど!」と違和感を露わにした。
そこで、改めて『史上最大の下克上』とは何だったのかを振り返りたい。
10年のプロ野球は、まず、セ・リーグ優勝の中日以下、2位阪神と3位巨人が共に1.0ゲーム差(勝率による順位)という僅差で、結果、中日がクライマックスシリーズを制覇し、日本シリーズに駒を進めていた。
パ・リーグは、首位のソフトバンク以下、2位西武、3位ロッテ、4位日本ハムが3.0ゲーム差内にひしめき合った。3位のロッテは0.5ゲーム差でクライマックスシリーズの出場権を獲得し、西武とのファーストステージ2試合は、共に延長11回にもつれた1点差ゲーム。ソフトバンクとのファイナルステージでは、王手をかけられてからの3連勝で、日本シリーズに駒を進めていた。
そして、ロッテ対中日の日本シリーズ。これが、球史に残る「名勝負」となる。特に印象的なのは、最後の2試合。中日の2勝3敗で迎えた第6戦は、延長15回、5時間を超える死闘で引き分けとなり、次の第7戦も決着は延長12回という長丁場。ロッテが日本シリーズを制し、日本一に。「史上最大の下克上」が完成したのだ。
あまりの名勝負、野球の面白さを再認識させる日本シリーズだったために、「ロッテが3位なのに日本一」という点を言及しようという声が少なかったほどだった。
ちなみに、CSの成績はソフトバンク2勝4敗(アドバンテージは除く)、西武0勝2敗、ロッテ6勝2敗であり、ゲーム差に換算すると2位ソフトバンクとのゲーム差で0.5上回ることになる。あくまで参考値でしかないが。
ともあれ、こうした事実の積み重ねが「史上最大の下克上」というわけだ。里崎氏の言うように、横浜DeNAは「まだ下克上の途中」。今日からの日本シリーズを制し、また歴史に残る戦いぶりを見せることで、晴れて「史上最大の下克上」が完成するのだろう。
いずれにしてもファンとしては、好ゲームになることを期待したい。