“もう立派な大人なのに、所かまわず脱ぐことをやめられない、少しばかりアバンギャルドな団体”たけし軍団に所属しているわたくしですが、よく聞かれる質問が、「北郷さんって、たけしさんにどのくらいのペースで会ってるんですか?」といったもの。わたくしの場合、殿の番組の作家をやっているため、週2回は確実にお会いしているのですが、このペース、今のたけし軍団にあって、圧倒的に殿と会っている大変恵まれたケースなのです。
今、弟子といえども、昔に比べて殿とちょいちょい会うのが、大変難しい状況になっています。
説明します。かつて、殿&たけし軍団の面々が勢ぞろいするレギュラー番組が、週に二つ三つはありました。そこで殿に会い、その流れで飲みに行くといったパターンもあったわけです。が、現在、全員が顔を合わせる番組は年に一度しかなく、弟子といえども、殿の冠番組に出演する以外、なかなか会えないのが現状です。
少し前、5年間毎日、殿に会っていた殿の元付き人が、「僕、今日殿に会うの2年ぶりです」と漏らしていたことがあったほど。弟子であっても、一度、殿の元を離れると、恐ろしく多忙な殿には、おいそれと会えないわけです。それは軍団の上の兄さんらもほぼ同じで、仕事で殿に遭遇する以外は、やはり、なかなか会えないのです。
“でも、プライベートで殿と飲みに行ったりしてるんでしょ?”いやいや、それもこの3年程はめっきりと減り、今、殿とわりと会っている兄さんは、タカさん&枝豆さんのお二人ぐらいで、他の方々は漏れなく、1年に一度、もしくはそれ以上、殿に遭遇されていなかったりします。
以上の事情から、わたくしが軍団の兄さんらに会うと、必ず出る質問が「殿、元気?」です。
そんな感じですから、たまに仕事で殿と軍団の面々がお会いする機会があると、殿は必ず、“お前、久し振りに見たな”といった空気を漂わせながら、ツッコミを炸裂させます。以前、松尾伴内さんが、約1年ぶりに殿と顔を合わされた時、
「何だお前は、網にかかったウツボみたいな顔しやがって!」
とツッコみ、やはり1年ぶりにダンカンさんと対面されれば、
「何だ、お前のその顔色は! 絶対俺より先に死ぬな」
と、容赦なくツッコむのです。で、ここ最近はわりとお会いしている相方のビートきよしさんも、2年程前までは、やはり1年に一度程で、当時、そんなきよしさんに出くわした殿は、
「今日はどうした? また怪しい金儲けの相談か?」
と、あいさつ代わりのジャブを入れると、その後はだいたい決まって、
「おい。楽屋の貴重品はちゃんと見張っとけな。何てったってきよしさんが来たからな」
と、付き人に指示を出すのです。とにかく、殿の、“雲の上の人化”は、ますます進んでいます。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!