「どうせ家にいても、朝7時くらいまで起きてるからよ。どっか、俺に朝5時ぐらいからの番組やらせてくれね~かな。朝刊なんか見て、好き勝手言わせてくれる番組をよ」
2年程前、しきりに殿が口にしていた言葉です。
殿のこの“早朝番組構想”を聞いた時、〈いくらなんでも、ビートたけしの朝の番組はありえないでしょう〉と、周りの誰もが「実現不能」と思ったはずです。
が、テレビ東京系にて、10月2日から6日までの5日間限定ではありましたが、朝7時半からの30分番組「おはよう、たけしですみません。」が放送されました。
つくづく、“殿はどこまでテレビで遊ぶのよ!”とツッコミを入れたのと同時に、“言ったことが次々と実現してるじゃん!”と、今一度改めて驚きました。
で、今回の朝の番組もそうですが、現在、絶賛発売中の殿の小説「アナログ」も、やはり1年半程前から、
「今、まるっきり純愛な小説をちゃんと書いてるんだけどよ、出版したら、結構話題になるんじゃねーか?」と、何度か漏らしていました。そして9月末、満を持して小説が発売になると、確かに話題となり、今、ベストセラーとしてはっきりと売れています。
弟子になって20年あまり、わたくし、殿のこういった“有言実行パターン”を何度も見せつけられて来たのですが、それは何も、運だけでなく、やはり“実現に向けて努力を惜しまず、淡々と、やらなければいけないことをやる殿の姿”も、同じだけ目撃しています。
今から10年程前、
「ジジイになったら、ちゃんと人前で、かっこいいタップをやってやる!」
そう漏らしていた殿は、約5年の間、週5日、2時間のタップの稽古を自分に課してやり遂げると、2年程前、名古屋地方限定のCMで、おふざけなしの“かっこいいタップダンス”を披露していました。
「ニュース番組なんだけどよ、天気のコーナーとか、芸能のコーナーなんかは、ふざけるだけふざけた番組をやりてーな」
10年程前、そんなことを漏らしていた殿。08年から始まった、リニューアル前のTBS系「ニュースキャスター」の中で、やはりその構想も実現しています。
「いつの時代だってやるヤツはやるし、やらないヤツはやらないんだから」
以前、ある番組の中で、渋谷あたりで遊ぶ若者と、中学を出てすぐに板前修業を始めた若者とを比較するVTRを見た殿が、真っ先に言い放ったコメントです。
「結果がダメでも、“俺はこれだけやったんだ”ってのがないと、つまんないだろ」と、殿はよく言います。
そして、
「誰に強制されたわけでもなく、自分で選んでこの世界(お笑い)に入ってきたんだから、努力するのは当然だし、頑張れるだろ」
5回は殿から聞いた言葉です。いまだ何者でもなく、怠け癖のあるわたくしは、時折、殿のこの言葉を、朝、口に出しては復唱し、家を出たりしています。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!