負け試合での三振と併殺、そして4タコ‥‥。その記録は、チームとファンをガッカリさせた回数でもある。本誌集計によるワースト打者はこの男たちだ!
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まずはチームが負けた試合に喫した三振数を見てみよう。今シーズン、両リーグ最多、断トツの150三振を記録したのは、広島の堂林。負け試合でも91個の三振を重ね、2位のペーニャに27個もの差をつけている。
「将来に向けて育てようと我慢して使い続けたわけですが、堂林に固執しすぎたばかりに、広島はBクラスに終わってしまった。堂林はチャンスでの三振も多すぎましたからね。これだけ三振をするなら、打率3割、もしくはホームランを30本打たないといけない。育成の名目がなければ、とっくにレギュラーから外されていますよ」(江本氏)
将来性に期待しつつ、伊原氏も堂林に厳しい目を向けている。
「来季も同じ成績であれば間違いなくレギュラーを剥奪されます。チャンスで打てなかっただけでなく、29個のエラーでチームに迷惑をかけましたからね。このオフの間、どれだけ飛躍できるかにかかっているのではないでしょうか」
優勝した日本ハムから、陽岱鋼(ようだいかん)がランクインという、意外な結果も出ている。この点について、広澤氏に解説してもらおう。
「日本ハムは勝ち試合が多かった。その中で陽がランクインしているということは、陽が打てない試合は負けが多かったということ。逆に言えば、陽が打てばチームは勝つ。確かに三振は多かったけど、チームへの貢献度は高かったと見るべきです」
続いて負け試合の併殺数だが、両リーグトップの併殺数を記録しているDeNA・ラミレスの名前がない。つまり、勝ち試合での併殺が多いということになる。ラミレスの併殺は、チームに悪影響を与えていないようだ。
併殺の多い阪神・新井貴浩もランクインしていない。新井の場合、勝ち試合、引き分けの試合でもまんべんなくゲッツーを食らっている(笑)。負け試合限定でのランク入りは免れた格好だ。
ランキングを見てみると、各チームのレギュラーが名を連ねている。試合に出る機会が多い分、不名誉な記録を残すリスクも高まるということか。
「名前の出ている選手全てに言えることですが、みんな足が遅いですよね(苦笑)」(広澤氏)
中には、かつて俊足として鳴らした選手もいる。鈍足となってしまったのは、年齢的な衰えといって差し支えないだろう。
チームに迷惑をかけるという意味では、4タコの数も見過ごすことはできない。最多はオリックス・後藤の32回。2タコ、3タコを含めれば、ノーヒットの試合はかなりの数に上る。
「後藤の特徴は早打ちなのですが、調子の悪い時は厳しいボールにもあっさりと手を出してしまう。これでは4タコが多くなるのも当然です。これだけ4タコを記録しても使われるのは、代わりとなる選手がいないということ。オリックスの台所事情の厳しさを反映していると思います」(伊原氏)
ランクインしたのは、やはりレギュラー選手ばかり。このような数字を残してもレギュラーを外されなかったのは、それなりの理由があるようだ。広澤氏はこう解説する。
「代打を送られている選手と違って、ここでランクインしている選手はチームからの信頼がある。4タコが多くなったのは、それだけ信頼されて送り出された証しでもあります。そして、以前は打てていたバッターでもある。実績のある選手ばかりなので、簡単に見切ることはできないですよ」
4タコが多くとも、中田のように優勝に貢献した選手もいる。不名誉な記録を劇的な一打で払拭できるのも、プロ野球の魅力と言えるだろう。