今シーズンも、高年俸をもらいながら期待に応えられなかった選手、つまり“給料泥棒”が続出! セパ両リーグのワーストナインを選出してみた。
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ワーストナインはズラリと1億円以上のプレーヤーが並んでいる。投手は2桁勝利に届かず、打者はいずれも打率3割を切った。これでは給料泥棒と呼ばれてもしかたがないところ。野球評論家・江本孟紀氏の解説を聞こう。
「年俸というのは、これまでの実績を含めた数字です。年俸2億円の選手は、そのうち1億5000万円が実績分。残りの5000万円が、今シーズンの期待料といったところです。栗原や鳥谷の成績を見ると、彼らがその期待に応えたとは言いがたい。1億円を超える打者なら、打率2割8分以上打たなければならない。それは、高額年俸をもらっている選手の義務とも言えますね」
ワーストナインの中で、最も仕事をしなかったのがヤクルトの林昌勇(イム・チャンヨン)。3億6000万円もの年俸をもらっておきながら、わずか9試合しか登板していない。本誌コラムでもおなじみの野球評論家・伊原春樹氏はこう語る。
「林昌勇は大喝ものですよ。外国人は複数年契約を結ぶと働かなくなる。西武時代のカブレラが、契約最終年だけ活躍していたのを思い出しましたよ」
ワーストナインは、下位チームの選手が多く選ばれる傾向にある。今年のセ・リーグは阪神から5人もの選手が名を連ねた。
「今年の阪神はビッグネームばかり集めて勝てなかった堀内監督時代の巨人を思い起こさせました。日本人選手でも複数年契約にすると甘えが出る」(伊原氏)
パ・リーグは3位のソフトバンクと下位チームでベストナインがほぼ占められている。オリックスは金子が1年を通して働くことができず、エース不在の苦しい戦いを強いられた。
「万全の金子は“投げれば勝つ”絶対的な存在ですが、同時にガラスのエースというイメージもある。彼が1年間働けなかったのは、岡田前監督にとっても痛かったでしょうね」(伊原氏)
不名誉なタイトルを獲得してしまった選手も数多くいる。
阪神の小宮山は規定打席に到達していないものの、最低打率と最低得点圏打率を記録。捕手とはいえ、あまりにも低すぎる成績。
阪神では投手でも岩田が先発最多敗戦投手になっている。阪神OBの評論家・野田浩司氏が解説する。
「岩田は痛いところで一発を食らうピッチャー。ふだんはとてもいい球を投げるのに、勝負どころになるとコントロールが悪くなってしまう。ピッチャーは打たれた場面が急に頭をよぎることがよくある。岩田はそれに苦しめられているんじゃないでしょうか」
ワーストナインにも選ばれたヤクルトの石川は、リーグ最多被安打を記録。チームのエースとしての役割を果たすことができなかった。
野球評論家の広澤克実氏はこう話す。
「石川はコントロールで勝負するタイプなので、一度崩れると歯止めが効かなくなる。球威のある投手なら、コントロールが悪くても、ある程度抑えられるんですけどね」
パでは、ロッテのエース・成瀬が最多被安打&最多被本塁打を記録してしまった。今年の成瀬は、大切な試合の終盤に打ち込まれるケースも目立った。
「成瀬はもともと強気なピッチャーなのですが、それが勝負の場面で裏目に出ているのかもしれない。それでも、被本塁打21本はさすがに多い。200イニング投げるなら、せめて15本以下に抑えなければなりません」(野田氏)
ロッテは後半戦に失速。エースの不調が、チームの成績に直結してしまったようだ。