芸能

東京芸人がすがりつく「ヒットメーカー」の心眼

「役者志望の光浦靖子にお笑い転身を説得した」

 芸歴30年以上、東京の若手お笑い芸人たちに多くの影響を与え、そしてリスペクトを受けているベテラン、ぶっちゃあ(57)、リッキー(54)のブッチャーブラザーズ。名伯楽2人による若手育成法がこれだ。

──人気番組「笑ってる場合ですよ」で鮮烈なデビューを果たした2人。当時と現在のお笑い界の状況はずいぶんと変わっていると思います。「お笑いライブ」という形を作った先駆けとして、今の若手の環境をどう思いますか?

ぶっちゃあ 僕ら、テレビで出てきた芸人やから、苦肉の策で考えたのが、バンドみたいにライブハウスでやればいいじゃないか、ということなんですよ。

リッキー アングラとか小劇場でやっているのをミックスしたような、そういうお笑いライブをやろうという考えから始めた。

ぶっちゃあ その頃に比べると変わってきている。環境だけじゃなくて質もね。営業なんて、30分ネタが当たり前だったけど、3分そして1分と、短い時間でのウケを求められる。時代なんでしょうけど。

リッキー 僕らは、それをテレビ芸と言っている。髭男爵でもそうだけど、しっかりした漫才もやりたいのだけど、ネタを切った芸を今はやらなきゃいけない。それが、「ルネッサ~ンス」。彼らやスギちゃんは、テレビ芸を持っているから。今のコのそこらへんはすごいな。

──そういった風潮の中で生き残っていくために、今までどんなアドバイスをしてきましたか。

ぶっちゃあ 鳥居みゆきなんて、19歳の時からすごいセンスを持っていた。僕らもライブに来てもらっていて。そうしているうちに、ウチに来たいと。それで稽古とかを見ていると、どうも一つに固まらない。何かキャッチ的なモノを作らないといけない。そこで彼女が考えたのが、「ヒットエンドラーン」だった。

リッキー 3つくらい勝負したいネタがあったんですよ。あれがいいんじゃないのと。

ぶっちゃあ 最初はちょっと嫌がっていたところもあったんですけど、しばらく我慢してこれでいけ、頑張ってやろうと。そうしたら1年くらいで売れた。これが大切、売れたら何でもできるじゃないですか。  こんなこともありました。知り合いの劇団を見に行った時に、たまたまおもしろいと思ったのが光浦靖子。打ち上げで絶対お笑いやったほうがいいよ。お笑いで売れたら劇団はいつでもできるからってね。

リッキー そうそう。そうしたらやりたい、仲のいいコとコンビを組みたい。それが大久保佳代子だった。

ぶっちゃあ 今の活躍はご存じのとおり。この前も手紙が来ましたけど、大久保佳代子劇団を作り、光浦が主宰しているんですけど、まさに僕らが言っていたようにできたワケじゃないですか。

──最後に、新しいお笑い時代を生きる後輩たちへ伝えたいこと、残したいことは何でしょうか。

ぶっちゃあ 古きよき芸人の伝統かな。例えば縦社会ならではの後輩へのケア、お酒をおごるとかね。そんな中で芸人が育ってくる。ダンディ(坂野)なんて、すごいケチでしたけど僕らが口うるさく言ったので変わってきた。最近はチームダンディとして若手と食事会とかしているようだし。

リッキー そういった意味じゃ、(カンニング)竹山は古き伝統を重んじている。若手にとって怖いけど、ありがたい存在じゃないかしら。

ぶっちゃあ うん、僕らも順送りができたかな。

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