相撲協会では07年に、時津風部屋で、力士暴行死事件が起き、親方らが逮捕された。10年には横綱・朝青龍(当時)が泥酔したあげく、知人男性に暴力をふるった責任を取り、強制引退に追い込まれている。だが、そうした教訓は生かされなかった。繰り返される不祥事は、日馬富士の「体質」に原因があったこともまた事実のようで、
「とにかく、酒が入ると別人になる。一人で三升を空けてしまうこともあり、とたんに凶暴な顔が出てきます。酔った勢いで、下位の力士にタバコを押しつけたこともあるそうです」(角界関係者)
相撲記者も言う。
「日馬富士はかつて、朝青龍の『手下』だったせいか、いいにつけ悪いにつけ、似たところがある。あの朝青龍から『お前は飲みすぎだ。ちょっと慎んだほうがいいよ』と、酒癖の悪さを注意されたことがあるほどです。ある時、朝青龍の『女』に手を出そうとし、『朝青龍に抱かれて、どうして俺はダメなんだ!』と無理やり迫ったという話も聞きました。酔うと見境がなくなるようで‥‥」
鳥取県警が捜査に乗り出したことで、渦中の日馬富士には「逮捕」の可能性も浮上している。事実、11月17日には任意の事情聴取を受け、「素手で殴った」と暴行を認めた。だが「流血の懇親会」の出席者らも、警察の事情聴取を受けて酒席での記憶をたどることになるだけに、証言の一致をみるかどうかは不透明だ。日馬富士の刑事処分なども含め、結論が出るまでに時間がかかる可能性も指摘されている。事実、春日野広報部長(55)も、処分決定は12月以降になるとの見通しを説明しているが‥‥。
好角家の漫画家、やくみつる氏は、次のように厳しい声を上げた。
「時津風部屋の暴行死事件を受け、相撲協会は公私にわたり暴力を排除するという宣言を行ったわけですから、結論は引退しかありませんよ。モンゴル人力士には、星の回し合いが目に余る時期もあった。日馬富士がモンゴルで慈善事業を行っているということも、情状酌量の理由にはなりません。仮に数場所休場させたところで、どうせ1年後ぐらいには引退するでしょうから、このあたりで(相撲協会の)緩んできたタガを締め直さないといけません」
貴ノ岩の症状と復帰、貴乃花親方の徹底抗戦、日馬富士の刑事処分、そして相撲協会による厳重処分。来年の役員選挙も巻き込みつつ、暴行事件は第二ラウンドへと突入していく──。