今回の日馬富士の電撃引退で、再びクローズアップされた「横綱の品格」。しかし、平成の大横綱・白鵬が何食わぬ顔のまま土俵に上がり続けるのはいかがなものかと、こんな物言いの一つもつけたくなるもの。好角家の漫画家やくみつる氏が苦言を呈した。
蓋を開ければ、日馬富士の暴行事件も、きっかけはこの男だった。かと思えば、秋場所では、九州場所11日目の嘉風との一番の軍配に抗議して土俵下に62秒間立ち尽くす態度といい、千秋楽の優勝表彰式で「膿を出し切り、(暴行を加えた)日馬富士と(被害者の)貴ノ岩を再び土俵に上げたい」と発言した独善的な態度といい、このところの白鵬の言動は目に余るばかりだ。
「本来なら、秋場所11日目の白鵬の行動は出場停止などの処罰に値します。それだけならまだしも、今度は千秋楽の表彰式で演説して、(相撲界は)膿を出し切って、日馬富士も貴ノ岩も一緒の土俵に立ってほしい、でしょ。白鵬は日本人受けする言葉でファンに万歳三唱を促し、丸く収めようとするが、まるでわかっていない。諸悪の根源はいったい誰なんだと言いたいですね」(やく氏)
白鵬の「万歳発言」を受けて、横綱審議委員会の北村正任委員長も、
「協会が厳しい状況にあるのに、なぜ万歳ができるのか。白鵬自身が日馬富士の事件の現場にいたわけですし、11日目に物言いの問題を起こした。万歳する空気はよくわからない」
と憮然とした表情で語ったのも記憶に新しい。
やく氏が続ける。
「正直、膿はお前じゃないかと言ってしまいたくなるぐらいです。体の中の見えない膿ではなく、白鵬の場合、相当腫れ上がっている。しかも、彼はそのことを理解していない。横審のメンバーもきつい発言をしていたが、相当うんざりしているのではないでしょうか」
白鵬は九州場所で40回目の優勝を果たしたが、限界説も取りざたされる中での優勝。だが、どうやら白鵬の目標は、2020年の東京五輪まで現役で綱を張り続けることにあるという。
相撲関係者が言う。
「白鵬自身も力が衰えているのはわかっている。しかし、歴代の横綱を見ると、晩年は休場しがちで、1年の半分も休んでいる人がいる。40回の優勝を成し遂げた今となっては、あまり無理をせず、現役を続けることに重きを置いてやっていくつもりですよ。本人は東京五輪の開会式で横綱土俵入りを行うことが次の目標。そして、モンゴル人のまま帰化をせずに相撲協会に残るという夢を実現していく計画なんです。そこに、着々と向かっている」
傍若無人なふるまいになんら反省もせず、国技の象徴的な存在として、東京五輪にも参加するつもりだというからあきれる。そのためには、宿敵である貴乃花親方を“排除”すべく、「貴乃花親方がいるのであれば巡業に参加しない」とまで言い切るのだから、もはやつける薬はないのかもしれない。相撲関係者が続ける。
「白鵬にとって、日馬富士の暴行事件を発端として明るみに出たモンゴル互助会については、蒸し返されたくないというのが本音。八百長騒動の時にもその存在がクローズアップされるなど、イメージが悪いことを気にかけている。モンゴル力士がつるんでいれば、何かたくらんでいるに違いないと白眼視される事態だけは避けたい。そのためには、モンゴル力士会を敵視する貴乃花親方の排除は喫緊の課題です。だからこそ、八角理事長に貴乃花親方を巡業部長から外せと詰め寄った。今の相撲界は、日本人もモンゴル人も白鵬の言いなりです。白鵬と貴乃花親方のガチンコ勝負はこれからが本番でしょう」
支援者に「貴ノ岩暴行事件の捜査が一区切りついたら、事件について話す」と説明したという貴乃花親方。つまり、次回12月20日の理事会が白鵬と貴乃花親方の「直接対決」の場になるのだ。
「いったい、どんな結論が出るのか、注視していきたい」
やく氏も土俵外の“横綱対決”に、そう期待を寄せている。はたして、相撲協会に自浄作用の能力があるのか。真価が問われることになりそうだ。