一方、協会内で旗色の悪い貴乃花親方は、会議後、「日馬富士は辞める必要はなかった。何かの陰謀で引退に追い込まれた」などと周囲に漏らしており、自分にも処分が下ることを覚悟している様子だという。
「こちらも警察の捜査の結果待ちだが、理事降格は避けられない。巡業部長として報告義務を怠った職務違反は見過ごすことができず、1階級降格、または親方としては最低の平年寄扱いまで落とされるかもしれない。いずれにしても、日馬富士との“密約”と引き換えに、協会が貴乃花潰しにシフトするのは間違いありません」(別の相撲部屋関係者)
貴乃花親方が対立を深めるのは協会だけではない。鳥取県警は28日に行った白鵬への事情聴取に異例の7時間半をかけている。
「言葉の問題もあったが、暴行のあった二次会だけでなく一次会での説教など白鵬には『共犯』の疑いがあった。そのため、同席していただけに第三者と言えるのか確定するまでに長時間がかかったと見られています」(相撲担当記者)
そこで気になるのは、騒動後、公の場に姿を一切現さない貴ノ岩の今後だ。
「最悪、引退に追い込まれる可能性が高い。貴乃花親方は初場所も休場させると言っている。初場所の番付しだいだがこのまま休場すれば全敗扱いとなり、さらに十両落ちが予想される。そこからはい上がるには気力がもたないだろう。また、現役横綱を完全に怒らせた貴ノ岩は全力士を敵に回したようなものだけに、復帰するのはガゼン厳しくなる」(相撲部屋関係者)
常日頃からガチンコの取組で戦っていることを周囲に吹聴していた貴ノ岩。最部屋の格下力士に向かい、
「お前らガチで勝っているのか?」
と、自分が真剣勝負で結果を残していることを自慢げに語っていた。また、モンゴル互助会に関しては、
「偉そうな顔をされる筋合いはない」
と、加わる意思がないことも明かしていた。
「この問題は、星の回し合いをせずとも平成の大横綱として大活躍した貴乃花親方に心酔した貴ノ岩が、モンゴル互助会には加わるなという師匠の教えを忠実に守っただけとも言えます」(相撲ジャーナリスト)
一口にモンゴル力士とはいえ、鶴竜の実家は大学教授、白鵬の父はメキシコ五輪のレスリングメダリスト。これに対し、両親が病死した貴ノ岩はモンゴルで暮らす兄弟に仕送りする身だ。大横綱を敵に回してしまった以上、廃業して祖国に帰っても四面楚歌となることが予想される。
「現在、貴ノ岩は外部との連絡を禁じられ九州の宿に蟄居中のようで、頭のケガよりも心身症が心配されます。親しい知人には九州巡業が終わるまではしばらく身を潜めていなければならないと語っている」(協会関係者)
それでも、ガチ横綱・貴乃花親方は“不惜身命”のかたくなな姿勢のままだ。
「定例会後には『巡業先でモンゴル力士の部屋を越えた飲みが派手すぎる』などモンゴル勢許さずのコメントを出している。憎き八角親方と刺し違えても最後まで戦うことになるでしょう」(前出・協会関係者)
モンゴル力士会と貴ノ岩の対立から協会執行部と貴乃花親方の代理戦争になってしまった今回の暴行事件。沈黙を守る貴乃花親方は今、何を思うのか?