安室奈美恵の突然の引退発表に、衝撃が走った今年下半期の音楽業界。一方、世代を超えるヒット曲こそ恵まれなかったものの、思わぬ大ヒットとなったのが1985年にリリースされた荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」である。
「今年の8月、『ダンシング・ヒーロー』を取り入れた女芸人・平野ノラのネタを元に、大阪府立登美丘高校のダンス部が『第10回日本高校ダンス部選手権』で準優勝したことがきっかけとなりSNSなどで動画が公開され、大きな話題を呼びました」(音楽誌ライター)
その人気を受け、11月には定番のオリジナルバージョンから、デビュー30周年のリメイク版までこれまでに発表された全11バージョンを収録した「ダンシング・ヒーロー -ALL EAT YOU UP-」が配信され、今月20日には初めてCDシングルもリリースされた。
「10月末に『うたコン』(NHK)で、荻野目と登美丘高校ダンス部(以下、TDC)の初共演が実現。『御堂筋ランウェイ』『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)と、共演を重ねる度に人気は沸騰。『2017 FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ系)を始め、年末の歌番組では引っ張りだこでしたね。そうした活躍が認められ、『第59回日本レコード大賞』では、荻野目とTDCが何と特別賞を受賞しています」(前出・音楽誌ライター)
この受賞を受け、荻野目自身もブログで、〈登美丘高校ダンス部のみなさんと共に受賞することが出来て、本当に嬉しいです。そして、いまだお会いしていない平野ノラさん、登場曲として使ってくれたおかげで、若い世代の方たちに浸透することが出来ました。有難うございます〉と感謝のコメントをつづっている。さらに荻野目は、「めちゃ×2イケてるッ!」「とんねるずのみなさんのおかげでした」(いずれもフジテレビ系)に対しても、特別な思いを打ち明けている。
「『めちゃイケ』の中で、岡村が『オレはダンシング・ヒーローになりたいんや』と連呼してくれたことにも感謝。さらに『みなおか』の中で、とんねるずの2人がコントで面白おかしく踊ってくれることがなかったら、2014年バージョンのダンスも生まれていなかったとコメント。32年ぶりのリバイバルヒットの陰で、この二つの番組が果たした役割はとても大きかったと思いますね」(放送作家)
奇しくも両番組とも、来年の3月末をもって終了する。伝説の番組が果たした役割の大きさを、改めて知る年の瀬でもある。
(窪田史郎)