毎年冬は風邪、インフルエンザが流行る。特に今年はインフルエンザが例年になく流行している。ネット辞書(コトバンク)によれば、〈風邪は正式には風邪症候群といい、鼻、のど、気管支などの粘膜に起る炎症性の病気の総称〉とも言われるが、その最大の予防法が「手洗い」と「うがい」。効果はあるが、うがいや手洗い、それにマスクなどはあくまでもウイルスを直接体内に入れないための防御策。一番効果的なのは免疫力を高めることだ。柴田クリニックの柴田雄一院長が言う。
「風邪を引くと発熱する。これは体温を上げて免疫を活性化させ、免疫細胞がウイルスと戦っているから。しかし、免疫力を高めておけば、ウイルスの侵入を防ぐことも可能です。免疫力を高める、免疫バランスを整えることが風邪予防には重要です」
そしてこのためにビタミンDが重要な役割を果たすという。ビタミンDはカルシウムのバランスを整えるのを手伝ったり、骨の健康を保つ働きをしていることで知られているが、最近の研究で、免疫力をアップする効果がわかってきたというのだ。
ところが日本人の約半数はビタミンDが不足しているのではないかといわれている。ビタミンDはイワシや鮭、さんま、サバなどの魚に多く含まれており、魚離れも風邪やインフルエンザの流行の遠因になっているという。そしてもう一つが過度な日焼け対策と、日光に当たらない都市生活だともいう。インフルエンザとビタミンDとの深い関わりを調べている東京慈恵会医科大学の浦島充佳准教授の研究室での臨床試験では、ビタミンDを摂取しないと、インフルエンザの発症リスクがおよそ2倍に上がったというのだ。そしてこう報告している。
「ビタミンDは紫外線を浴びて生成される。強い日差しや長時間当たる必要はないが、今の時期は紫外線が少ないのでたっぷり浴びてチャージしておくといい」
これで、風邪やインフルエンザの対策になるのなら、冬の晴天の日は外を歩く時間を少し増やさない手はない。
(谷川渓)