音楽のランキングを集計・発表しているオリコンが、新たなランキングを設置する方針であると発表した。小池恒社長が朝日新聞の取材に対して明らかにしたもので、これまでのランキングに加えて、ダウンロード数やCDの売り上げを一つにまとめた総合的なランキングを今秋にも新設するという。小池社長によると、アップルミュージックやスポティファイなど、定額で音楽が聴き放題になるサービスの再生回数も加える意向だという。
「CDの売り上げを中心としたこれまでのランキング集計方法は、実際の音楽視聴スタイルからズレたものになっており、人気を正確に反映していないという指摘がありました。それを解消しようということなのでしょう」(音楽ライター)
新たな集計方式によってランキングは大きく変わる可能性がある。というのも、これまでのランキングでは、CDに特典をつけて販売枚数を積み上げればランキング上位に入ったが、新たな方式では通用しないことも考えられるからだ。事実、オリコンのランキングとアップルのiTunesのダウンロードランキングは大きく異なっている。
「これに顔色を変えているのが、特典商法を盛んにやってきたアーティストです。ライブ後にメンバーと会えるバックステージパスの抽選応募券をつけたり、サイン入りの私物が当たるキャンペーンを行ってファンに何枚もCDを購入させ、ランクインを果たしてきました。これが通用せず、順位が下がれば『人気が落ちた』『特典商法に頼りきって、音楽を磨いてこなかった』と言われかねない。賞レースにも影響が出るかもしれませんからね」(レコード会社制作ディレクター)
一方で正しい人気を反映してくれると、新ランキングを歓迎しているアーティストも少なくないという。今秋、新ランキングが導入された後、音楽業界はどのように変貌していくのだろうか。