一方、阪神の沖縄・宜野座キャンプでは、とんでもない事件が起きていた。チームの「機密文書流出」事件だ。球団関係者が言う。
「キャンプに参加している今年の新人選手の情報、現状などを担当スカウトがレポートにまとめて監督、コーチに伝えるのですが、その報告が番記者たちに一斉メールで配信されてしまった。スカウト情報を取りまとめているフロントの人物が元広報だったため、記者たちのアドレスが登録されていたのでしょう」
現在、多くのチームが試合中の選手コメントや会見などの連絡事項を番記者などにメールで一斉配信している。元広報は番記者らの登録を残したまま誤配信したのだろう。
阪神の1軍キャンプに抜擢されている新人は、ドラフト1位の馬場皐輔(22)をはじめ、熊谷敬宥(22)、島田海吏(22)の3人だ。
誤配信されたレポートは、監督、コーチに伝達するもので、それぞれの選手の特徴だけではなく、古傷や性格、現在の体調についても書かれており、決してチーム外に漏れてはならないマル秘情報だった。
ただでさえ、金本知憲監督(49)は、マスコミにチーム内情報が漏れることに神経過敏になっており、「なんでこのチームは、すぐに内輪の情報が新聞に載るんだ?」と、何度も不満を口にしている。
昨年オフには、四藤社長、高野球団本部長が事実上解任され、揚塩球団社長、谷本球団本部長と新体制に刷新されたが、さっそくフロントが金本監督の足を引っ張る失態を犯してしまった。しかも、この機密情報の漏洩事件には、笑えないオチも。在阪マスコミの一人が苦笑する。
「実は機密のはずが、まるで大したことのない情報だったんです。『調子は上がっています』などと曖昧な報告で、記者の間では『こんな情報をもらったところで監督も担当コーチも参考にならないだろうな』という話で一致していました」
他球団の場合、日本ハムやDeNA、楽天などは細やかなチェック事項を決めたうえで、綿密なレポートを作成して情報を共有している。特に日本ハムは、スコアラーが具体的な起用法を提案するなどして1、2軍だけでなく、スカウト、編成との風通しをよくして近年の優勝につなげているのだが‥‥。
陣中見舞いをした坂井オーナーは「優勝」の二文字まで口にしたが、キャンプを視察したかぎりでは、阪神の常勝ムードはまだ見えてこない。