2月21日、俳優・大杉漣が急性心不全で亡くなり、芸能界のみならず日本中に衝撃を与えた。66歳。あまりに早すぎる死であった。大杉さんは前日の20日午後9時ごろまで千葉・富津市内などで「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」(テレビ東京系)の撮影に参加。共演者らと食事をしたあとにホテルの自室に戻ってから、出演者のグループLINEで腹痛を訴えた。異変に気付いた「バイプレイヤーズ」で共演中の松重豊がタクシーで千葉県内の病院に連れて行ったが、容体は好転せず、3~4時間後、共演者と妻らにみとられながら、そのまま帰らぬ人となった。発表された死因は急性心不全だった。
世田谷井上病院・井上毅一理事長が語る。
「急性心不全というのは文字通り急に来ますからね。特に寒暖の差にさらされる冬期は、心臓、血管が原因の突然死が起こる可能性が比較的高いんですよ。例えば今回のように、飲食店から外へ出たり、夜中にトイレに起きる時など、暖かい場所から急激に寒い場所に移動した際に起こりうる。
解剖結果を見ていないので何とも言えませんが、腹痛を訴えたというのは、急性心筋梗塞などの虚血性心疾患の放散痛もしくは関連痛が考えられる。そうであれば、通常の腹痛とは違う、張り裂けるほどの痛みだったと思います。急性心不全は症状の始まりが胸痛ばかりでなく、腹でも肺でも脳にだって出るんです」
一般的に、心不全を防ぐには生活習慣病に陥らないことが一番だとされているが、前出の井上理事長はこう話す。
「年齢に限らず、40代でもなる人はなり、原因となりうる要素はいろいろですが、冬場は冷え切った風呂場やトイレを暖め、寒暖の差をできるだけ少なくする。そして、お酒はほどほどにということぐらいでしょう」
なかば運しだいのようにも聞こえるから恐ろしい。これが“向き合える”病であったならば、大杉さんは生還できたかもしれないのだ。
大杉さんの突然死と、俳優人生で残した足跡の詳細は、2月27日発売の週刊アサヒ芸能(3月8日号)で報じている。