2月2日の理事候補選ではわずか2票で惨敗し、相撲協会内で求心力を失った貴乃花親方に、追い打ちをかける暴露スキャンダルが──。理事会議事録の流出によって、「裏金疑惑」の渦中にある元顧問との癒着が明らかになったのだ。「荒れる春場所」を前に、角界では大きな嵐が吹き荒れそうな雲行きだ。
知られざる相撲協会の内幕とは──。執行部に渦巻くドロドロの権力闘争を描いたノンフィクション「貴の乱」(宝島社刊)が去る2月22日に発売され、大きな話題を呼んでいる。
「店頭に並ぶ前に、相撲協会から版元に抗議があったようです」(出版関係者)
相撲協会がナーバスになるのも無理はない。同書にスッパ抜かれたのは、15年12月18日に開催された理事会の議事録。マスコミはもちろん、理事、副理事、一部の職員以外は立ち入りが許されない「密室」でのやり取りが暴露されている。この「議事録流出」で、あらためて浮き彫りになったのが、貴乃花親方(45)と八角理事長(54)の対立だ。
「前月に北の湖前理事長が亡くなっていて、次の理事長を決める重要な理事会でした。しかし、初っぱなから会は紛糾。相撲協会の顧問(当時)を出席させるかどうかで、貴乃花親方と八角親方が口論を繰り広げています。この内容を見るかぎり、貴乃花親方が顧問の男性に肩入れしているのがわかります」(角界関係者)
この「顧問」こそ、現在、相撲協会と法廷で争っている小林慶彦氏。北の湖前理事長が存命中には、側近として相撲協会に食い込み、私腹を肥やしてきたと言われるいわくつきの人物で、相撲協会から約1億6000万円の損害賠償請求訴訟を起こされている。
「小林氏は何人もの協会職員を懐柔して、暗躍していました。『一緒によくなっていこう』と仲間に引き入れた“シンパ”も使って、やりたい放題だったようです」(前出・角界関係者)
そんな小林氏は理事会に無断で、力士をキャラクターにした相撲のパチンコ台を企画。その際、代理店から500万円もの裏金を受け取った疑惑が持たれている。現ナマの受け渡し現場は代理店の代表者に隠し撮りされており、14年1月にはネットの投稿サイトにアップされて物議を醸した。今もネット上に残る動画を再生すると、ホテルの一室で札束を受け取り、
「絶対、バレんようにしてくれる。(残りの分は)小分けでもかまわんから」
と語っている小林氏の姿が確認できた。
「これは明らかな背任行為。本来ならば、この時点で北の湖理事長は小林氏を徹底調査し、膿を出し切るべきだったのに、実際は徹底的に隠蔽を図ったんです」(前出・角界関係者)
そしてこの2月27日には、新たな「裏金問題」が法廷で取り上げられた。16年1月に顧問の職を解かれた小林氏が「解雇は不当」として「地位確認」を求めた裁判では、逆に協会側の追及を受ける形に。国技館の改修工事にあたって、小林氏が代表を務める会社に、設備工事会社「中電工」から8000万円もの大金が振り込まれた件で協会側代理人に質問されると、
「わかりません。そのような報告は聞いていません」
と、しどろもどろに答えるしかなかったという。