ロシアW杯まであと1週間余り。ハリルホジッチ前監督の下で代表漏れを経験していた「BIG3」がそろって、新生・西野ジャパンに招集された。ただし4年前のブラジルW杯と違い、3人がピッチで共存する姿は見られそうにない。とりわけ本田と香川はスタメンの座を巡って、ガチンコでぶつかり合う──。
6月14日に開幕するサッカーロシアW杯。ハリルホジッチ前監督(65)が電撃解任されてから2カ月、西野朗新監督(63)の下で、サムライブルーのメンバー23人が決定した。そこにはいわゆる「BIG3」と称される本田圭佑(31)、香川真司(29)、岡崎慎司(32)も無事に名を連ねていた。週刊アサヒ芸能4月26日号で予想したとおり、3人が「死の淵から蘇生」したのだ。スポーツ紙サッカー担当記者が言う。
「5月31日のメンバー発表会見は、どよめきのない静かなものでした。BIG3の誰かが落ちるのか、そんな空気が流れていただけに、逆にサプライズ人選だったとも言えますが(笑)」
最終予選で本田のポジションを脅かし続けた久保裕也(24)や、3月の初代表戦でいきなり初ゴールを決めた中島翔哉(23)が予備登録27人に残ることはなく、最後に落選したのも井手口陽介(21)、浅野拓磨(23)、三竿健斗(22)の若いハリル・チルドレンだった。サッカー担当記者が続ける。
「逆にケガで不安視されていたベテラン組の香川や岡崎、乾貴士(30)が23人に滑り込んだ。平均年齢が28.3歳と、6大会連続6度目の出場の中で最も高い。新指揮官がベテランの経験を重視した理由の一つは、1次リーグの3戦に向け、相手の戦略に対応した布陣を敷きたいからです。西野監督が『ポリバレント』という言葉を何度も使っていたことからも明らかです」
このポリバレントは、単に複数のポジションをこなすユーティリティープレーヤーを指しているわけではないという。専門誌編集者によれば、
「オシム元監督がよく口にしていた言葉で、多くの選手と連動し合えて、攻撃の変化をつけられる選手を指しています。今季のポルトガルリーグで29戦に出場し10得点12アシストと覚醒した中島にしても、個の力は認めつつ、限られたわずかな日数で代表に溶け込み多機能化することが難しいと判断され、代表合宿に呼ばなかったのでしょう」
「戦略家」と称される西野監督は、ガーナとの壮行試合(0対2で敗戦)の前に、「人ではなく、まずはボールに対するディフェンスを全員で捕らえたい」と話していたが、そこにもベテランの実績尊重がうかがえる。
「ハリル体制下ではじき出されていた岡崎を再招集した理由も、所属先のレスターで、英国代表バーディー(31)とのコンビで結果を残していたことだけでなく、粘り強い献身的な守備力を高く評価している表れでしょう」(専門誌編集者)