一方、本田とともに代表の顔として君臨してきた香川にも、世代交代の波は容赦なく押し寄せてきている。“香川不要論”がささやかれるきっかけとなったのは、トップ下で先発出場した昨年10月の豪州戦。試合中は自陣近くまで下がって守備に奮闘したものの、攻撃時には迫力を欠き、相手陣のペナルティエリアでボールを触ることはほとんどなかった。
「ハリル監督から守備の意識を徹底されていたようなのですが、残り15分弱で出場した清武弘嗣(27)がわずかな時間でチャンスメイクしていただけに、パフォーマンスの悪さがよけいに際立った。所属のドイツ・ドルトムントで干されていたのがよくわかる試合でした」(スポーツニュース関係者)
本田と同じく香川も、昨年来、所属クラブで思うように出番を得られていない。若手の台頭によって試合どころかベンチすら外れることが多かった。
その結果、昨年11月のサウジアラビア戦では、本田、岡崎慎司(31)とともにベンチスタート。日本代表の三枚看板がそろって控えに回るのは、ザッケローニ前監督時代の2010年以来だっただけに、世代交代の始まりを強く印象づけた。
彼らに代わる前線は、ワントップに大迫勇也(27)、2列目右に最終予選初先発の久保、左に原口元気(26)、トップ下に清武。ロンドン、リオ五輪世代のフレッシュな陣容で、清武以外は所属先でコンスタントに活躍している面々ばかり。「できるだけいい選手を選ぶ」が持論のハリル監督による、コンディション重視の現実的なメンバー選考が注目された。
その采配が的中し、前半に清武がPKで先制。後半には、原口が最終予選4試合連続となる値千金の追加点をあげた。大迫は2~3人のディフェンダーに囲まれても、びくともせずにボールキープして起点を作り続けた。前半45分のみの出場だった久保も、A代表初の大舞台とは思えぬアグレッシブなプレーを見せ続けたものだ。
後半20分から清武に代わって出場した香川は、10月の試合同様、守備面での貢献度は高かったが、ボールを奪いきるまでには至らず、不完全燃焼の感は拭えなかった。
「この試合に勝ち、グループ2位に浮上したことで、予選突破に弾みがついた。同時に、所属クラブでコンスタントに活躍していなければ、香川といえども出番が減るという基準があらためて明確になった。このことが、先日の豪州戦における香川、本田の扱いにつながったのでしょう」(スポーツ報道関係者)
予選突破を決めたハリル監督は、予選終了後に大幅な血の入れ代えを計画しているといわれる。本田、香川といえども、もはや「粛清」対象者であり、ポジションはないかもしれない。