テリー 最新主演作「素敵なダイナマイトスキャンダル」って、末井昭さんの自伝の映画化ですよね。すごいなァ。
柄本 テリーさん、末井さんをご存じなんですか?
テリー もちろん。荒木経惟さんが活躍していた雑誌「写真時代」なんかを作った有名な編集者ですよね。
柄本 僕はこの映画に出演することで、初めて末井さんのことを知ったんです。7歳の時にお母さんをダイナマイト自殺で亡くして、上京後にデザイン会社に就職したあと、出版社に入って雑誌の編集長になって、みたいな波乱の人生にビックリしちゃって。アラーキーさんほか、末井さんを取り巻く個性的な人たちはもちろんのこと、「おもしろいものなら何でも作りたい」という70~80年代の熱量が詰まっていて、とにかく演じていて楽しかったです。
テリー その頃、青春時代を過ごしたアサ芸世代にしっかり刺さる映画だと思いますよ。実在の人物を演じるというのは、どういう気分だったんですか?
柄本 それは僕も初めての経験だったので、「どう演じればいいのか」という迷いはありましたね。ただ、原作本の表紙を見たら女装した末井さんの写真が載っていて、なんとなく僕と顔が似ているんですよ。だから、「あ、いけるんじゃないか」と思えまして(笑)。
テリー (本の表紙を見ながら)あっ、本当だ、そっくりじゃないですか!
柄本 ハハハハ、監督からも「似せる必要はないから、佑君のまんまでやってください」と言われました。
テリー じゃあ、撮影は順調だった?
柄本 そうですね。末井さんも5日間ぐらい現場に来てくれました。
テリー それ、多くないですか(笑)。だって普通、原作者なんて最初に挨拶するぐらいじゃないですか。
柄本 確かに、そういう場合が多いですね。
テリー スタッフもプロデューサーも気を遣わなきゃいけないから大変だしね。ずっと撮影風景を見ているんですか?
柄本 はい、だから最初すごく緊張したんですよ。ご自分を演じている役者を、どう思って見てるのかと思うと、気になっちゃって。
テリー ハハハ、やっかいな人だね。
柄本 いやいや、そこまででは。むしろ、いい機会だったんです。いちおう「似せる必要はない」と言われていましたけど、せっかくご本人がいるんだから、と、その機会に末井さんを観察していましたから。
テリー さすがですね、演技に生きた部分はありましたか?
柄本 ボーっとしている時のたたずまい、みたいなものは参考になりましたね。あと、当時の資料もずいぶん持ってきてくださったんです。監督も現場の時代考証をお願いしたかったはずなので、ありがたかったんじゃないかと思います。
テリー しかし、生きてる間に自分の自伝映画ができちゃうなんて幸せだよね。俺だったら「ちょっと俺の映画でも観に行こうぜ」なんて言って、絶対女の子を口説いちゃうけど。
柄本 しかも、原作のエッセイはまだ続きがあるから、その気になれば続編もアリなんですよ。
テリー じゃあ、頑張ってヒットさせないとね。
柄本 そうですね。とにかくメチャクチャでパワフルな映画なので、ご覧いただければ、きっと元気が出ると思います。