いよいよ春のGIシリーズの開幕だ。昨年はデムーロ&ルメールの両外国人騎手が暴れまくり、日本人ではキタサンブラックに騎乗した武豊騎手頼みだった。今年こそは、と東西の次世代エース候補、田辺&川田の両雄に期待が注がれているが、ともに「リーディングに興味なし」という超個性派。競馬サークル内では「変人」とも言われる2人の裏素顔に迫る──。
東西のトレセンで「今年のGIで期待したい腕達者は?」と聞いて回ると、関東リーディング1位(3月11日終了時点)の田辺裕信(34)と、関西で5位の川田将雅(32)の名前がよくあがる。スポーツ紙デスクがその理由を語る。
「そつなく乗るという点では戸崎圭太(37)や福永祐一(41)がいるけど、2人とも昨年のGIでは勝利がなかった。それに人気を背負うことが多く、一発の魅力も少ない。その点、川田は過去に3歳クラシック5冠を制し、昨年の安田記念も7番人気のサトノアラジンで勝利。田辺にしても過去2度のGI制覇は人気薄だった。2人とも年々腕を上げているだけに、今年一気にブレイクしてもおかしくない」
田辺と川田は2月のクイーンCでワンツーを決めるなど、3歳クラシックに直結する重賞をともに2勝しており、春のGI戦線でも楽しみな存在だ。
特に川田には、超大物のお手馬が控えている。栗東担当の専門紙記者が話す。
「皐月賞はダノンプレミアムで決まりという声がサークル内から聞こえてくる。デビューから川田とコンビを組んで4戦全勝。英国の大学で馬学と経済学を学んだという中内田充正調教師の鼻息も荒く、海外遠征を視野にいくつかのプランを練っているそうです」
一方、田辺のお手馬は、京成杯を制したジェネラーレウーノ。スポーツ紙美浦担当記者が解説する。
「ダノンプレミアムとジェネラーレウーノは同じ先行タイプながら、ディープインパクト産駒とスクリーンヒーロー産駒。脚の特徴が違うだけに、枠順や馬場状態、展開で大逆転もある」
皐月賞だけではなく、川田は今週の高松宮記念でファインニードル、桜花賞ではリリーノーブルが控えており、田辺はテトラドラクマでNHKマイルCに挑む予定だ。
だが、この2人、腕は達者でも口下手のため、時に「変人」と見られることが多々あるという。
2月3日、東京5R(8着)のあと、川田は検量室に戻るや、騎乗馬を管理する青木孝文調教師に向かってメンチを切った。美浦トレセン関係者が話す。
「開業2年目の青木調教師に向かって、『なんでこんな馬に乗せるんですか!』とドナったそうです。確かに返し馬からテンションが高く、道中、折り合いをつけられないほどでしたが、いきなりのケンカ腰のもの言いに青木師もカチンときた。持っていたノートのようなものを床に叩きつけて、『もう二度と頼まん!』と。怒りの収まらない青木師に、そばにいたベテラン調教師が『アイツに頼んだお前が悪い』と苦笑いしていました」