怒濤のごとく続くGI戦。今週は2歳馬による朝日杯フューチュリティSがメインとして行われる。
中山最終週のホープフルS(12月26日)が2000メートルで争われる皐月賞と同じ舞台であることから「来春のクラシックを占う大一番」であるのに対して、こちらはマイル戦。NHKマイルCに連なる一戦でもあり、スピード自慢が顔をそろえるだけに、いわば「2歳馬の総決算」という見方もできる。
今年もマイラーとして大成しそうな素質馬ぞろいだが、力はハイレベルで拮抗しているように見え、激しくも見応え満点の競馬が展開されることだろう。
まず、データを見てみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単による万馬券は7回(馬連は1回)。この間、1番人気馬は5勝(2着4回)、2番人気馬は6勝(2着2回)。1、2番人気馬のワンツー決着は3回。人気勢が必ずしも、というわけではないが、前評判が高い馬の善戦が目立つ、中穴傾向のGI戦と言っていいだろう。
14年に中山から阪神に舞台が移り、枠順による有利不利はなくなったが、過去6回ともサンデーサイレンスの血を持つ馬が勝利している。このへんは頭に入れておいてもよさそうだ。
あらためて顔ぶれを見てみると、今年も評判馬ばかり。新潟2歳Sの覇者ショックアクション、サウジアラビアRC勝ちのステラヴェローチェ、2戦2勝のドゥラモンドとブルースピリット、京王杯2歳Sを制したモントライゼ、未勝利─デイリー杯2歳Sをレコードで連勝中のレッドベルオーブ、同2着の良血ホウオウアマゾンといった面々で、いずれの馬が勝っても納得である。
馬券的には難解で目移りしてしまうが、穴党として最も期待を寄せてみたいのは、アスコルターレだ。
3戦2勝と成績は悪くないが、前述した有力どころに比べると特別勝ち程度では、やはり地味だ。しかも3戦全てが1400メートル戦。マイルの経験がないことで、恐らく評価は低いだろう。
しかし、前々での積極策もできれば、控えて鋭い差し脚を発揮することもできる自在性があり、センスのよさを感じさせる。牡馬にしては小柄(前走時444キロ)ながら均斉の取れた好馬体で、このへんからも素質は確かだろう。
血統がまたいい。叔父のサトノルークスは菊花賞2着馬。17年のセレクトセールにおいて2億7000万円で落札され、評判となったのは周知だろう。さらに近親、一族にヘンリーザナヴィゲーター(英・愛2000ギニーなどGI4勝)を筆頭に、安田記念3着のドルフィンストリート(フォレ賞)、全欧3歳王者マジシャン(愛2000ギニー、BCターフ)など活躍馬がキラ星のごとくいる良血なのだ。
使われるたびに体重が増えているのも好材料。中間の稽古の動きも一段とよくなっており、1週前の追い切りも軽快でリズミカル。文句なしだった。
「体がたくましくなって雰囲気がすごくいい」
とは、西村調教師をはじめ、厩舎スタッフが口をそろえるところ。
勝ち負けになってよく、大きく狙ってみたい。