そんな2人は、厩舎に所属していた新人時代から変わり者だったという。馬主関係者が当時を振り返る。
「川田は04年に安田隆行厩舎からデビューし、わずか2年でフリーに転身。これはマレなことで、その理由がスタッフとの確執でした。彼は乗り運動は丁寧にこなすも、帰り際の掃き掃除などは『俺、騎手なんで』と拒否。『ムチしか持たんのか!』といらだつスタッフもいた。その一方で安田夫人に誕生日プレゼントを贈るなど、若いのに処世術にたけていて、周囲を驚かせていた」
田辺は正反対で、02年に小西一男厩舎からデビューし、フリーに転身したのは16年の2月だった。
「フリーになったのは小西師の進言だった。田辺は腰痛持ちのため、心配した先生が『水曜と木曜の追い切りだけ乗ればいいから、他の日は休め。早くフリーになって体のケアに努めろ』と転身を勧めた。ですが、今でも毎日のように小西厩舎に現れてゲームをしていたり、まるで所属騎手みたいだけどね(笑)」(スポーツ紙デスク)
腰痛のせいもあるのか、田辺はリーディング争いには興味を示さない。
「彼は14年から3年連続東西1位に輝いた戸崎について『どうやってモチベーションを保ったのかな。俺には無理。1日、6レースぐらいでいいよ』と笑っていました。それに減量も嫌いで基本リミットが54キロまでとなると、今は東の1位でも、最終的にリーディング争いは厳しい。引退した松田博資先生が彼のことを『指示をさっと理解して実践できる』とホメていただけに、もったいないですね」(前出・スポーツ紙デスク)
川田もまた「勝利優先」を掲げ、騎乗馬をしぼり込むタイプだ。
「一発勝負タイプのデムーロ騎手にソックリ。エージェントも一緒だし、プライベートの過ごし方も似ている。人脈作りに余念のないデムーロ同様、川田も交遊関係を広げている。尊敬する武豊(49)や福永のように北海道の牧場やセールにも顔を出している。有名馬主の夫人と一緒の時なんて、ふだんとは別人のように愛想を振りまいてたよ(笑)」(ベテラン記者)
最近は芸能人との交流も評判になっている。
「有名なのが俳優の小泉孝太郎だね。昨年、武豊に紹介されると、すぐに懐に入り込み、孝太郎がラジオ番組で『今時、珍しい好青年』とベタボメしていた。すでに2人でゴルフをする仲で、デサントのゴルフウェアを着て調教に現れるほど熱中している。ゴルフは人脈作りに役立つし、引退後の調教師転身を見据えてのことのようにも映るね」(馬主関係者)
逆に実直タイプの田辺は、生涯一騎手を貫き通しそうである。
「ポスト横山典弘(50)という感じ。大胆で巧みな騎乗や家族中心の生活も似ている。年に数回、テレビ東京の鷲見玲奈アナを交えての会食に出席するぐらいで、派手さがない。まさにマイペースな職人タイプだね」(美浦トレセン関係者)
今は“変人”と称される2人の戦いぶりと、今後の“変身”が楽しみだ。