暖かくなった今の時期は、ダイエットに適した季節です。日照時間が延びて活動量も増えるため、新陳代謝が活発になり、体の脂肪も減少し始めます。
さて、今週はダイエットに関する問題です。最近、コンビニなどでもよく見かけるようになった「炭酸水」はダイエット中の飲み物として適しているでしょうか。
ダイエットに最も適した飲み物は水ですが、水ばかり飲んでいると、つい飽きて甘い炭酸飲料水に手を伸ばしがちです。「たまには違うものを飲みたい」と思った時、炭酸水は腹を膨らませて食欲をゴマかしてくれることが期待できます。ちなみに、炭酸水は食事の30分ほど前に飲むと食事の量をコントロールすることができます。
ダイエットでは、空腹感を上手に紛らわすのもコツの一つです。炭酸水をシャンパングラスに入れ、カクテルを飲んでいるような気分に浸るのも一つの手でしょう。
ただし、空腹時に炭酸水を飲みすぎると胃の粘膜を傷つけます。特に逆流性食道炎や下痢型過敏性腸症候群の症状のある方の炭酸水ダイエットは要注意です。まず、逆流性食道炎の場合、胃酸が逆流し食道の粘膜がただれてしまう可能性があります。しかも、炭酸水は胃のぜん動運動を促す作用もありますので、下痢型過敏性腸症候群の方も避けたほうがベターでしょう。
実は、炭酸水には胃や腸を刺激することで、食欲増進を促す効果もあります。発泡の圧力で栄養分が腸内から血管への浸透も早くなり、吸収が早まるとも言われています。目安はあくまでペットボトル1本(500ミリリットル)の半分程度です。飲みすぎないよう注意して、空腹を上手に紛らわせてください。
他にも、炭酸に含まれる二酸化炭素が疲労物質である乳酸を排出してくれる作用があることも知られています。しかし、炭酸は酸性です。飲みすぎることによって、体が酸性に傾き代謝の悪化や疲労感が取れにくくなることもあるので注意が必要です。
同じ炭酸飲料でも、コーラは500ミリリットル当たり55グラムの糖分を含んでおり、そもそも甘い炭酸飲料はダイエット効果を台なしにします。炭酸水を選ぶ際は、要注意です。
同じく、運動後に飲まれるスポーツドリンクも、ペットボトル1本(500ミリリットル)当たり30グラムの糖分が含まれており、角砂糖に換算すると6個分に相当します。スポーツで消費しすぎたカロリーを補うものとして、運動後であれば多少は問題ありませんが、糖分が多く含まれているので、ダイエット中には適さない飲料です。
ダイエットでは食べ物だけでなく飲み物にも注意すべきです。最も体にいいのが、水を数回に分けてちびちびと飲む。これに限ります。1日に飲む量は個人差がありますが、1~2リットルを目安にしてください。
私がいちばんオススメしたいのは白湯です。白湯とは沸騰させたお湯を50℃程度まで冷ましたお湯のこと。朝起きて最初に白湯を飲むと、内臓が温められて新陳代謝が活発になります。白湯は便秘の解消にもなるので、排便を促進するなど、ダイエットに一石二鳥の効果があります。もう一つ、糖分が含まれていないピュアココアも、食物繊維やミネラルが豊富に含まれており、白湯同様に便秘の解消も期待できます。
また、大豆イソフラボンやサポニン、レシチンなどの成分を多く含む豆乳も、食前に飲むと空腹感を抑えてくれるなど、ダイエット効果が期待できます。しかし、炭酸水と同じく大量に飲むと、大豆アレルギーを発症したり、肌荒れなど体に悪影響を及ぼすこともあるので、1日に200~300ミリリットルを目安にしてください。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。