この3月で、ビートたけしが約30年にわたって率いてきた芸能事務所・オフィス北野から独立することが明らかになり、大きな話題となっている。71歳の決断。3月26日発売の「週刊ポスト」では、「オイラはこれまで好きなことをやってきたし、これからもいつだって好きなことをやっていく」と、仕事に対するスタンスはいささかも変わらないことを強調していた。では、今、これからやっていきたい「好きなこと」にはどんなものがあるのだろうか。芸能記者はこう話す。
「小説の執筆、そして落語もやりたいことの一つなんじゃないでしょうか。たけしさんには立川梅春(ばいしゅん)という別称があり、すでに高座に上がっています。ドラマ『下町ロケット』での熱演でも脚光を浴び、独演会のチケットが即日完売することで有名な立川談春さんから梅春の名前をいただいています。たけしさんは、談春さんの目線で師匠・談志さんを描いた自伝的エッセー『赤めだか』(TBS系)のドラマ化にともない、15年末の特番に談志役で出演。劇中ではあるものの、貴重な落語を披露しています。年齢的にも見栄えがしますし、ファンとしても高座に上がる姿を、もっと見てみたいんじゃないでしょうか」
たけしのように、故・立川談志師匠に影響を受けた東京の芸人は多く、爆笑問題・太田光もその一人。そんな太田の縁があって、2016年、爆問が所属する芸能事務所・タイタンのライブ20周年記念公演で、たけしは落語を披露している。さらにその前年、車いすの漫談家のホーキング青山と元たけし軍団・グレート義太夫が催した名人会ならぬ「うそつき迷人会」にも、立川梅春として2度もサプライズ出演している。
「たけしさんとは逆パターンで、落語家からひとり話術で成功したベテランは多いです。明石家さんまも元は落語家。地元・奈良県の高校を卒業したあと、2代目笑福亭松之助さんの弟子となって、修業を積んでいます。でも、師匠みずからの推薦で、ピン芸人の道を歩みました。笑福亭鶴瓶は、現役の落語家。故・六代目笑福亭松鶴師匠に入門して、現在は上方落語協会の副会長に就任しています。師匠の住居跡地に『無学亭』という寄席小屋を建て、毎月1回、豪華ゲストを招いてイベントを開いていますよ」(前出・芸能記者)
昨年2月、桂文枝の芸能生活50周年を記念したイベント&番組で、文枝、さんま、鶴瓶のそろい踏みが実現した。この先、もしも、たけしが落語家に本腰を入れれば、ふたたび「ドリームショット」を拝める日がやってくるかもしれない。
(北村ともこ)