観光客の支出の大半を占める宿泊費も、悪徳中国人の格好のターゲットとなっている。旅館業法の営業許可がないのに、料金を取って繰り返し宿泊させる「闇民泊」が中国人旅行者の定宿となっているのだ。
「観光客は中国の民泊仲介サイト『途家』などを利用して、宿泊先を探しています。貸す側は日本人や外国人もいますが、圧倒的に中国人が多い。登録された物件はほぼ無許可の闇民泊。月の8割近くが埋まっていて相当荒稼ぎしています」(吉岡氏)
訪日客のバブルでにぎわう大阪では、高級ブランド品が飛ぶように売れ、「大丸松坂屋」や「高島屋」の18年2月期決算は増収増益。それでも大阪府内のホテルは、平均客室単価が昨年より下落してしまった。
「一時期はホテル不足が深刻だったのに、今は中国人観光客が民泊に流れているのが明らかになった。ホテル側はサービスの質を落とすわけにもいかず、対抗手段は値下げぐらいしかないのです」(吉岡氏)
急増する闇民泊の実害は、地域住民の間でも起きている。条例で平日の民泊を禁止した東京都新宿区に住む男性はこう怒りをぶちまける。
「条例の効果はあまり実感できません。平日でもキャリーバッグを引いた中国人旅行者の団体を見かけます。深夜になっても部屋の外で酒を飲んでどんちゃん騒ぎ。道路はゴミが散乱して、冬でも生臭いにおいで通るたびに吐きそうになる」
もはや“治外法権”の状態に地域住民はお手上げ。その一方で、中国人旅行者に「貸す側」の日本人も痛い目にあっていた。
「中国人旅行客が帰ったあとに部屋を見に行ったら、コップやお皿などの日用品はもちろん、部屋に飾っていた掛け軸までなくなっていた」(日本人オーナー)
闇民泊を巡っては、今年2月に女性会社員(27)が切断遺体で発見されるなど、犯罪に悪用されることも。さまざまな問題が山積みの中、政府は「経済効果10兆円台」を期待して、6月に民泊事業を全面解禁することになったばかりだ。
「参入するには、都道府県知事への届け出が義務づけられ、年間の提供日数は180日間の上限があります。今より稼げなくなると見られるが、中国人の闇民泊が大幅に減ることはないでしょう」(吉岡氏)
そもそも「脱法ビジネス」に手を染める中国人は、日本の法律に従うつもりなど毛頭ないのだ。