いずれにせよ、モンゴル互助会の崩壊で角界の景色は一変したと言っていい。もはや人情相撲は、旧態依然とした相撲の悪しき遺物と言ってもいいかもしれない。やく氏が言う。
「八百長工作というと露骨ですが、ま、言うなれば高度な気の利かせ合いですよ。あうんの呼吸でやっていることだと思いますよ。千秋楽、鶴竜との一番では熱戦に見せようと思って、白鵬が寄り戻したりしましたが、見ているこっちのほうが気恥ずかしくなりました」
実際、同じモンゴル人力士同士の対戦でも、逸ノ城のようにモンゴル人力士との交流が少ない関取ともなれば、なれ合いは皆無。14日目の対戦では白鵬が左上手が取れず上手投げで完敗。もはや巨漢力士とのガチンコ対決では、正面突破は厳しいようにも思える。
では、Xデーを迎えたモンゴル互助会はどうなるのか。
「自然消滅でしょうね」
とやく氏が続ける。
「次の横綱が誰かということになりますが、栃ノ心の時代になるでしょう。栃ノ心は30歳と年齢的にもそう長く全盛時代が続くとは思えませんが、普通に13勝、14勝していけば、数場所後には横綱になっているでしょう。彼が横綱になれば、ファンは本気の力相撲が楽しめるはずです」
ライバルの鶴竜は夏場所こそ、もろ差しになり栃ノ心を制したが、春場所ではどちらが横綱かわからないような力相撲で栃ノ心が圧倒した。いよいよ新時代の到来か。ベテラン相撲記者が指摘する。
「鶴竜も32歳という年齢から、長くはもたないでしょう。恐らく栃ノ心のライバルは大器、逸ノ城です。この二人が白鵬なきあとの土俵の中心になるはずです」
モンゴル互助会とともに終焉を迎えようとする白鵬時代。新旧世代交代が明らかになった今、問われるのは大横綱の引き際なのかもしれない。