週刊アサヒ芸能(2018年5月24日号)の大特集「寿命を縮める危ない食品」では、居酒屋やレストランなど飲食店の、健康被害に直結する危ない料理の裏側をレポートした。では日頃、家庭の食卓で口にする食材はどうか。2015年に食品表示法が施行されてから3年の歳月が流れたが、スーパーマーケットでは今も、驚くべき食材がこれでもかと陳列されていた──。
「アナタ、出かけた帰りにスーパーに寄って買い物してきて。リストはメールしておくから」
とある休日の夕方。所用で自宅近くに外出したオヤジ記者は、妻から近所のスーパーマーケットでのお使いを言いつけられた。
土曜、日曜は「3倍ポイント・デー」とあって、レジ前には長い列ができている。西日が差し込む入り口に無造作に置かれたキャベツや大根は、心なしか新鮮さを失っているように見えるが‥‥。ま、腹に入れば同じか。というわけで、妻から送られてきたメールを見ながら、まずは入り口から続く野菜・果物売り場で、198円のレタスと白菜(4分の1で98円)を手に取り、カゴに放り込む。
「実はスーパーの野菜売り場の実力は、レタスと白菜を見ればわかるんです」
と、ここでツッコミを入れるのは、食品安全教育研究所の河岸宏和代表である。
「通常、新鮮なレタスは根元の切り口が白い。でもズルいスーパーは鮮度の悪さを隠すために、根元が茶色くなった部分をカットして販売しているんです」
白菜は半分にカットされたのをよく見かけるが、これについても河岸氏は、
「白菜は時間がたつと断面の真ん中が盛り上がっていきます。これは鮮度が悪いという証し。こういった野菜を平気で売るスーパーは、他の食品も推して知るべし、なんです」
野菜売り場の近くに置かれている水煮野菜も問題あり、と警鐘を鳴らすのは、食品と暮らしの安全基金の小若順一代表だ。
「パックを見ればわかりますが、まったく濁りがなく、透明度の高い液に食材が浮かんでいます。これは成分をとことん抜いて、もう溶け出るものがない水煮食品。これが一般家庭向けに、普通に売られている。こんな食材を使って家庭で調理したり、食品工場で惣菜や弁当を作れば、ミネラルだけでなく全ての栄養素が欠けてしまう。つまり、食べた人の健康を損ねる結果を招くんです」
レタスと白菜を買ったオヤジ記者は、隣の鮮魚類売り場へと移動。目指すはサンマだ。
「特売1本120円」と書かれたサンマは、氷水が入った発泡スチロールの箱に浸されている。サンマの他にアジ、ブリなども同じような状態で売られているのを見かけるが、これに魚介類によく見られるヒスタミン生成菌が付着し、それを食べるとアレルギー性食中毒の原因になることがあるのだ。
「ヒスタミン生成菌で汚染された魚は、たとえ焼いたり煮たりしたとしても、じんましんが出る危険性が高くなる。ヒスタミン生成菌は温室で増殖するため、菌の増殖を防ぐよう氷水に浸して販売しているようですが、魚全体が氷水に浸かっていなければ菌の増殖は防げない。そうでなければ、危険極まりない状態だといえます」(河岸氏)