6月10日、日本最速男・桐生祥秀が陸上のダイヤモンドリーグ第6戦、ストックホルム大会で、男子100メートルで今季自己ベストの追い風2.0メートルの条件下、10秒15で2位となった。6月19日付の読売新聞では、22日から始まる日本選手権を控え、「タイムがだんだん上がるシーズンは珍しい」と語り、充実感も見られていたという。しかし、ストックホルム大会にエントリーした頃には桐生の苦戦を予想する声は少なくなかった。というのも、
「5月下旬の国内レース、セイコーゴールデングランプリでの成績が悪すぎました。タイムは10秒26と平凡で、決勝レースは9人中最下位。調子を取り戻したのかどうか、心配でした」(体協詰め記者)
4月から社会人一年生。周囲のサポート体制も充実しているが、今季はまだ、一番高い表彰台に上がっていないのも事実。しかも、最下位だった先のセイコーゴールデングランプリ後、「走り方がわからなくなった」と、気になる発言もしていたのだ。関係者は「あくまでも目標は2年後の東京五輪」と、調整の一環にあることを強調していたが…。
「東京五輪までの中間報告となるのが、日本選手権です。『セイコー』後、スペインでの強化合宿を行い、そのままスウェーデンに入り、15日に帰国し最後の調整に入っています」(前出・体協詰め記者)
昨年の今頃は、海外合宿、海外レースを経て、日本選手権という流れだったが、海外レースでしくじり、昨季の日本選手権は4位と奮わなかった。
「去年と違うのは、200m走の練習に比較的時間を割いていること。100m走の走り方がバラバラなのはそのせいかも」(体協詰め記者)
ケンブリッジ飛鳥、山県亮太、多田修平など国内ライバルたちは好調だ。東京五輪に照準を合わせるのもいいが、調整が遅れないかまだ心配は残るが、まだ例年の水準まで戻っていないと言われるスピードを日本選手権では戻せるか注目したい。
(スポーツライター・飯山満)