函館に続いて福島が開幕する。先週の宝塚記念をもって春競馬は閉幕。夏競馬とともに中央競馬は後半戦を迎える。
その中央場所のしょっぱな、福島競馬の開幕週を飾るのは、ラジオNIKKEI賞だ。3歳馬同士による初めてのハンデ重賞。難解かつ、馬券的におもしろいレースである。
毎度指摘していることだが、この時期の3歳馬は日々、どんどんと変わっている。その多くはたくましく成長して、春のクラシックたけなわの頃とは比べモノにならないぐらいの馬になっているのだ。
ということは、これまでの実績をかんがみてハンデを決めるのは、少しばかり無謀でないかと思うのだ。
つまり、良化、成長が急だから近走の成績から考えられない好走を見せる馬が多くいて、いったい何のためにハンデの上下をつけたのかわからない結果を招くことが少なからずある、というわけである。
これまでを振り返ってみても、簡単に人気どおり決まらない重賞であることがよくわかる。
軽ハンデ馬(50~53キロ)がよく連対するとともに、出走頭数が少ないわりに牝馬の好走もよく見られる。これもハンデが軽いゆえだろう。
今回も顔ぶれはなかなかだが、全幅の信頼を寄せられる馬はいない。1勝馬(500万条件)の参戦もあって、まったくもって予断を許さない一戦で、とにかく一筋縄では収まりそうにない重賞なのだ。
最も期待を寄せてみたいのは、イェッツトである。まだ1勝馬だが、その素質は相当なもの。それゆえ穴馬、伏兵とは言い難いが、大きく狙う価値は十分あると言っていい。
デビュー戦を快勝、続くGIII京成杯でも見せ場たっぷりに3着。勝った馬が先行してそのまま粘り込んだもので、2着馬コズミックフォース(ダービー3着)も好位から脚を伸ばしてのもの。キャリアのなさを思えば、力量の高さは推して知るべしであろう。
しかし、続くゆりかもめ賞は体調が整わなかったこともあって、1番人気を大きく裏切ることに。体質が弱かったからだが、そこで皐月賞挑戦をあきらめたのが正解だった。
その後は放牧でリフレッシュ。成長を促したのが功を奏した。3カ月、間を空けての前走プリンシパルSは、前記したコズミックフォースとクビ差の大接戦を演じて見せた。
まだ馬体に余裕があり、本来の姿でなかったことを思えば、使われての変わり身を大いに期待できるというもの。実際、この中間は順調そのもの。中間の稽古内容のよさも目を引く。
「ここを目標に、しっかり乗り込んできた。これからが楽しみな馬。強敵相手でも差はないはず」
こう期待感を込めるのは金成調教師だ。ならば勝ち負けになっていい。
4代母は英3歳女王で、ヒシアマゾン(GIエリザベス女王杯、GI阪神3歳牝馬S)、アドマイヤムーン(ジャパンCなどGI3勝)が近親にいる良血。均斉の取れた好馬体からも、将来性は十分。ハンデは恐らく53キロまで。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
CBC賞は、グレイトチャーターに期待だ。
前走は勝負どころで不利を被る場面もあったが、まだ本来の姿に戻りきれていなかった。
それでも使われつつ良化してきており、中間の調教内容も実にいい。こちらもハンデ戦で、恐らく53~54キロでの競馬。良馬場ならチャンスがあっていい。