交流戦を8勝10敗と負け越した巨人は、今季も上昇気流に乗り切れない。セ・リーグが空前の混戦模様となっているため、それほど目立っていないが、実はこの球団は、舞台裏で数字に現れない懸案事項を数多く抱え込んでいるのだ。
問題なのは、今オフの火薬庫となりそうな次期監督問題がすでに浮上していること。今季は、球団と3年契約を結んだ高橋由伸監督(43)の最終年である。
開幕直前に行われた恒例の「燦燦会総会」では、読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡邉恒雄氏(92)が、高橋監督について「まだ若い。たった2年しかやってない。長嶋茂雄さんは15年やった。10年以上やるつもりで、今年から勝ち始めて10連勝、優勝10回くらいは。長嶋さんの記録を塗り替えてくれると期待します」などと述べ、長期政権の樹立を期待する発言まで口にしている。
親会社の読売グループ本社で「事実上の最高権力者」と言われる渡邉氏のお墨付きを得られたことで、今季の結果いかんにかかわらず、高橋監督の座は来季以降も安泰のように見えていた。
だが、実情は異なる。読売新聞グループ本社、球団内部には由伸体制に不満を募らせる関係者も多く、「もし来季以降も続投ならば、凋落の一途をたどる」と、最高権力者の発言に反発する声まで聞こえてくる状況なのだ。“反由伸派”の球団関係者が嘆く。
「もう3年目だというのに、采配は村田真一ヘッドコーチ(54)を筆頭に、盟友の井端弘和内野守備走塁コーチ(43)らスタッフに丸投げで、やっていることといえば、スタメン決定や選手交代の最終ジャッジを下すことぐらい。投手起用は門外漢だから斎藤雅樹投手コーチ(53)に任せっきりとなるのもわかるが、外野手出身なのに、ここまで野手に具体的なアクションを何も起こさない監督は珍しい。性格的にも暗いし、コメントも判で押したような言葉ばかりだから、人気が出ないのも当然でしょう」
この指摘どおり、就任3年目でこのザマなのだから、続投決定となって迎える来季以降も、劇的な変化はまず望めそうにないだろう。
この流れに歯止めをかけようと、水面下で何やら怪しげな隠密行動を繰り返している実行部隊がいた。球団内部で急速に権力を集め始め「陰のGM」とささやかれているA氏だという。
説明すると、先に渡邉氏を「事実上の最高権力者」としたが、厳密に言うと読売グループ本社のトップは代表取締役社長の山口寿一氏(61)だ。読売上層部の間でも「ポストナベツネ」ともっぱらの山口氏は昨今、球団内での発言権も大幅に増している。
「鹿取義隆GM(61)に直接電話をかけたりするなど“ホットライン”を使って、あれやこれやとトップダウンの指示をすることも珍しくないようです。今や読売グループ、そして巨人でも渡邉主筆以上の力を持ち始めています」(読売関係者)
そのキーパーソン・山口氏にA氏が急接近し、鹿取GMを脇に追いやり、由伸外しを進言。代わって次期監督の筆頭候補として前DeNA監督・中畑清氏(64)を擁立する動きを見せているというのである。