社会

日本激震列島“逃げ場なし”(1)「大阪直下の揺れで南海トラフ地震が迫る!」

 日本列島が揺れている。大阪府北部で6月18日に発生した震度6弱の地震から1週間余り。関西地方は不気味な沈黙を守っている。だが、前日の6月17日には群馬で震度5弱を記録。千葉では不可解な揺れが断続的に続いている。はたして我が町の周辺は大丈夫か。専門家に聞いた。

 大阪の北部で6月18日、震度6弱を記録する強い揺れが起こりました。

 今回の地震は、東西に延びる「有馬-高槻断層帯」、南北に延びる「上町断層帯」や「生駒断層帯」の境目付近で発生したと見られています。

 東京と違って近畿圏では、活断層は見えていることが多いですが、今のところ、震源がどこか確定はしていない。これらの断層帯のいずれか、もしくは複数が影響した可能性が考えられ、気象庁の発表によると、今回の地震は「有馬-高槻断層帯」の影響が大きいと見られています。

 現在の日本列島は、2011年の東日本大震災によってゆがんだり、よじれたりして、非常に地震が起きやすい状況が生まれています。

 過去の歴史を振り返ると、西日本では南海トラフ(駿河湾から四国沖にかけての地震発生帯沿い)地震の前に、直下型地震が起こる傾向がある。そのメカニズムは今の地震学では解明できていないものの、経験則でわかっています。

 南海トラフ地震はこれまで13回起きており、直近のものとしては1944年に発生した東南海地震と46年に起きた南海地震がありました。そして、いずれの巨大地震もその前には、北丹後地震や但馬地震と呼ばれる直下型地震が起きているのは紛れもない事実です。

 直下型の最近のものは、2013年に淡路島付近を震源として発生したM6.3震度6弱の地震や、15年の徳島県南部を震源とするM5.0震度5強の地震があることから、南海トラフ地震はいつ起きても不思議ではありません。

 今回の震源として有力視されている有馬-高槻断層帯では、1596年に慶長伏見地震が発生していますが、同じ断層帯での地震発生となれば、実に約400年ぶりになります。

 中央構造線沿いで発生した慶長伏見地震は、実はわずか5日のうちに起きた三つの大地震のうちの一つとして知られています。

 1596年9月1日、まず発生したのは慶長伊予地震でM7.0。その3日後には大分に場所を移して慶長豊後地震(M7.8)が起こった。そして、その翌日の9月5日、慶長伏見地震が起こったのです。

 さらに1605年には、南海トラフ地震の一つとされる慶長地震が発生しています。

 こう考えていくと、内陸の直下型地震も怖いが、もっと怖いのはそのあとにくる南海トラフ地震そのものだと言えるでしょう。

 南海トラフ地震が発生した場合、経済被害額が20年間で1410兆円という推計を土木学会が初めて発表しましたが、人的被害もまた大きい。

 一方、6月17日、群馬県渋川市で震度5弱を観測する地震が発生しました。震源の深さは14キロ、M4.6と推定されます。群馬県内を震源とする地震で震度5弱以上の揺れを観測したのは、1923年に統計を取り始めてから初めてのことですが、群馬のケースは西日本から延びてきている中央構造線という日本最長の活断層が起こしたものなのかもしれません。

 これに付随して千葉県でM4.0以上の地震が相次いでいることと関係するのではないかと考えている人もいます。房総半島沖でプレート同士が地中の境界でゆっくり滑る現象「スロースリップ」が起き、地震を誘発しているのが原因ですが、房総半島沖では2~7年間隔でスロースリップが発生しています。陸側と海側のプレート境界が約1週間で10センチ程度ずれ、群発地震を誘発していますが、過去にも5~6年置きに起きているものの、大地震には至っていない。今後、大地震に結び付くものなのかどうか、正直まだわからないというのが実情です。

 スロー地震は巨大地震の発生と因果関係があり、観測によって巨大地震の発生を予測できるとする学説はあるのですが、今の地震学では解明できていないのです。

島村英紀(武蔵野学院大学特任教授)

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