文部科学省の前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者が、東京医科大学に便宜を図る見返りに息子を医学部に不正合格させた問題。7月13日には、大学側が過去に不正合格させた受験生やその親の名前が書かれた「裏口入学リスト」を作成していたことも報道された。文科省は前代未聞の大騒ぎとなっているが、「佐野太容疑者が裏口入学に手を染める背景には、文部科学省の職員の中での学歴偏重体質があるのでは」と指摘するのは、同省の幹部職員。こう明かしてくれた。
「文科省には当然ながら、教育行政を志望して入ってくる官僚が多いわけですが、もちろん自分の家族や子弟に受けさせる教育に対する思いは強い。小学校受験については公立小学校を管轄する官庁でもある関係から、周囲の目を気にしてさすがに控えていますが、中学受験をしている子弟は多くいます。文科官僚は開成や麻布など有名中学出身者も多いので、自分の子供もやはり同レベルの学校で学ばせたいという思いが強いのではないでしょうか。彼らのお受験に対する熱はすさまじいですよ。PTA役員にも積極的に手を上げるのが文科省の父兄たちです。そこで学校の問題点などを積極的に議論します。教師にとっては管轄官庁でもあるので強気な態度には出にくいし、いい迷惑でしょうね(笑)」
彼らにとってのエリートコースは、国家公務員だけに、筑波大学駒場などの国公立付属中学から東京大学など一貫して国立大学に通うのがエリートコースなんだとか。
「私大でも早慶以外は論外。関西では、有名大学の立命館大学ですら“ぜつめいかん大学”と陰でバカにしているほどです。毎年2月、3月の受験シーズンになると『あの課長の息子さんは○○大学に入った』と話題になっています。現役局長ともなれば、やはり息子も一流大学にと思い、背にハラは変えられなかったのではないでしょうか」(前出・文科省幹部職員)
そんな理由も手伝って佐野太容疑者が、裏口入学させていたとしたら、さらに呆れるほかない。“エリートたちの闇”は深そうである。