1915年に第1回大会が開催された夏の高校野球。その予選に参加したのは全国でわずか73校だった。以来、今年の第100回に至るまで1度も欠かさずに地方大会に出場している“皆勤校”がどれくらい存在するか、ご存知だろうか。
その伝統を守り続けているのは15校。東から順に旭丘(旧・愛知一中)、時習館(旧・愛知四中⇒豊橋時習館)、岐阜(旧・岐阜中)、西京(旧・京都一商⇒西京商)、山城(旧・京都五中)、同志社(旧・同志社中=京都)、市岡(旧・市岡中=大阪)、桐蔭(旧・和歌山中)、関西学院(旧・関西学院中=兵庫)、神戸(旧・神戸一中=兵庫)、兵庫(旧・神戸二中)、鳥取西(旧・鳥取中⇒鳥取一中)、米子東(旧・米子中=鳥取)、大社(旧・杵築中⇒大社中)、松江北(旧・松江中=島根)となる。近畿のチームが多く、鳥取県と島根県も、ともに2校ずつ残っている。
そして、実はこの15校はすべて春夏の甲子園に、ともに出場経験があり、付け加えると夏の優勝校が4校あるのだ。いずれも戦前だが、旭丘は夏8回、春4回の全国大会出場があり、1917年の第3回大会では史上唯一、敗者復活戦を勝ち上がって優勝を果たした。夏4回、春3回出場し、1919年の第5回大会で優勝校となったのが神戸。その翌年の第6回大会で優勝し、兵庫県勢として連覇を成し遂げたのが春6回、夏7回の出場経験がある関西学院。最後の4校目が桐蔭である。春16回、夏20回の出場を誇る県内きっての古豪で192年の第7回大会と1922年の第8回大会で優勝、大会史上初の連覇を成し遂げた。続く1923年の第9回大会も決勝戦に進出し、史上初の3連覇を狙ったが、甲陽中(現・甲陽学院=兵庫)に2‐5で敗れ、惜しくも快挙を逃している。なお、この4校のうち関西学院と桐蔭はそれぞれ春の選抜でも1回ずつの優勝経験がある。
逆に春の選抜でのみ優勝しているのが春4回、夏3回の出場がある西京。戦後2回目となる1948年の第20回大会で、京都二商(現在は廃校)との京都対決を制しての栄冠だった。
記念すべき第100回を迎える今夏。全国大会の開会式では、皆勤校15校の主将が入場行進に参加する。はたしてこの中に晴れて代表校となって、チームメイトとともに大舞台に臨むことになる高校は現れるだろうか。
(高校野球評論家・上杉純也)