伝統を誇る函館記念は荒れることで定評があり、穴党向きのハンデ戦である。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、馬単での万馬券が半数の8回も飛び出している(馬連では4回)。この間、1番人気馬は2勝(2着3回)、2番人気馬は3勝(2着2回)。目下のところ、3年連続して馬単で万馬券になっており、一筋縄では収まらない一戦だ。
今年もフルゲート(16頭)が見込まれており、どう転ぶかわかりづらい。まずは顔ぶれを見てみよう。実に多彩である。
前哨戦の巴賞からは勝ったナイトオブナイツを筆頭に、クラウンディバイダ、ブレスジャーニー、ナスノセイカン、マイネルハニーが使ってくる。最も着順が悪かったマイネルハニーまで、コンマ4秒差。使ったことでいずれも体調が変わるはずで、そのうえハンデのサジ加減もある。このあたりをどう吟味、判断するか。悩むところだ。
他にも有力と見られる馬は少なくない。昨年の札幌記念を勝ったサクラアンプルールや、スズカデヴィアス、トリコロールブルーなども人気の一角に数えられよう。
要は体調のよしあしを見極めるのが肝心。そのうえでハンデが決め手になるのだ。これまでを振り返ってみると、55~57キロのハンデ馬がよく連対していることを思うと、それなりに実績を重ねてきた力量馬の底力は軽く見るべきではないということだ。
年齢的にはどうだろう。充実ぶりを見せる5歳馬が最も多く連対しており、次いで4歳、6歳馬。このあたりはどの重賞も同じだが、しかしながら7歳以上の古馬が意外に善戦しているのも見逃せない。
とにかく難解このうえない重賞と言っていいが、最も期待を寄せてみたいのはカレンラストショーだ。
前走の新潟大賞典は2カ月半ぶりの実戦だったが、重め感なくいい仕上がりだった。しかし、結果は12着。昇級初戦で初のオープン挑戦だったのが響いたのだろう。いわば洗礼を浴びる格好だった。
それでも、勝ち馬とコンマ6秒差だったことを思うと、それなりの高い評価を与えていいのではないだろうか。
デビュー当時は420キロ台のひ弱な牡馬で、500万条件を勝ち上がるまで時間を要したが、勝ち上がりを決めた昨年1月以降の成績は【1】【2】【3】【2】【2】【1】【3】【1】【12】と、それまでとは一変し、安定した走りを見せるようになった。体重も今では440キロ台に増えて、パワーアップしたのは明らかだ。
前走で大きく着順を下げたものの、それで軽視されるのであれば穴党としては好都合である。
新潟大賞典後は、再度放牧。ここ目標にしっかり仕上げられてきている。1週前の追い切りも文句なく、「まずは万全。前走以上の状態で臨めそう」と厩舎スタッフは口をそろえる。
前走から2カ月半ぶりとなるが、元来が鉄砲駆けするタイプで不安はまったくない。
スリープレスナイト(スプリンターズS)、ヒシアマゾン(エリザベス女王杯)、アドマイヤムーン(ジャパンC)など、近親、一族に活躍馬が多くいる良血。良馬場なら大きく狙ってみたい馬だ。
穴中の穴としてあげてみたいのが、ゴールドサーベラスである。
前走のエプソムC(7着)は、道悪ながら後方から強烈な末脚を繰り出し、見せ場たっぷりの好内容。2000メートルの距離が初めてになるが、「折り合い面に難はなく、血統からも問題ない」と、清水英調教師は、むしろ歓迎の口ぶり。右回りはスムーズで、“一発”があっていい。