7月7日、中央競馬会の“アイドルジョッキー”藤田菜七子騎手(20)=根本厩舎=がJRA通算30勝を達成した。
菜七子騎手が騎乗したのは福島2R(ダート1700メートル)。Dr.コパこと風水師・小林祥晃オーナーのコパノステラートは15頭立てで7番人気だった。競馬関係者が振り返る。
「この日の福島競馬場は、障害レースで無敵を誇るオジュウチョウサンが久々に平地レースに出走することもあり、朝からいつも以上に客足が増えていたのですが、菜七子ちゃんの馬が3コーナーで先頭を奪うと、場内は騒然。そのまま押し切って2着馬をクビ差で封じ込めた瞬間は、まるで重賞レースにでも勝ったかのような大歓声が沸き上がりました」
折しも七夕のメモリアルデーに、単勝1720円の中穴をブチ抜いて今年早くも10勝目。女性騎手初となる2年連続2桁勝利を飾った。その活躍ぶりに専門紙トラックマン(TM)も目を細める。
「3年目の夏を迎え、いよいよ安定感が出てきたと評価も上々です。以前は騎乗中に膝がすわらず、姿勢がフラつくこともあったが、最近は、しっかり膝を閉じて、ブレずに馬を制御できるようになってきた。このままいけば、自己新記録の年間15勝、いや20勝も夢ではないでしょう」
ターフ外でも“アイドル菜七子”の人気は桁違いだ。専門誌トラックマンが続ける。
「勝利した前の週、同じ福島競馬のレース後にチャリティーオークションが開かれた。菜七子ちゃんは自前のピンクのジャージを出品したのですが、セリ値はあっという間に10万円を突破。最終的に12万5000円の『ストップ高』となったところで、3人の熱烈なファンによるジャンケン決戦となりました」
使用済みのジャージが12万円超とは、まさに人気は青天井。しばらく“菜七子フィーバー”がやむことはなさそうだ。
「6月に地方交流戦で川崎競馬に出た際、パドックはさしずめアイドル撮影会のようでした。パドックでは菜七子ちゃんを撮影するファンが絶えず、馬を引いていた厩務員さんは『こんなに写真を撮られたのは初めて』と絶句していました」(競馬関係者)
先行する人気に追いつき追い越せと実力を蓄えてきた菜七子騎手だが、その過熱フィーバーの裏で、今後を大きく左右する大事件が起きていた。美浦トレセン関係者が明かす。
「この記念すべきJRA30勝をあげた日の2日前、菜七子騎手のエージェント(騎乗依頼仲介者)が突如、契約を打ち切ったんです。厩舎に所属する騎手は、基本的に自厩舎の馬を優先してから他の騎乗馬を探すことになります。ですから、エージェントには『今週の菜七子騎手はどのレースが空いてる?』などと照会されることになる。ところがこの日、そのエージェントが『担当しなくなった』と明かし、窓口が不在となった。美浦トレセンは大パニックになったのです」
そのエージェントとは、戸崎圭太(38)、内田博幸(47)などトップジョッキーを兼任し、敏腕とうたわれる中村剛士氏(41)である。
「戸崎騎手が14~16年まで3年連続リーディングジョッキーとなった背景には、間違いなく中村氏の力があった。そして、昨年の冬から菜七子ちゃんを担当すると、騎乗依頼だけでなく、社台グループなどの有力馬に騎乗する機会も増えた。つまり、中村氏が離れることは、菜七子ちゃんにとって死活問題なのです」(競馬関係者)