人気女性騎手・藤田菜七子が、スランプに喘いでいる。今年まだ1勝で、現在110連敗中だ。他の3人の女性騎手が着々とリーディングの順位を上げている中、104位という有り様となっている(5月8日現在)。
藤田といえば、JRAに16年ぶりに誕生した女性騎手ということもあって、16年にデビュー以来、常に注目を浴びてきた。そして、その期待に違わず順調に勝ち星を量産。JRA女性騎手初の通算100勝、重賞制覇(JRA重賞1勝、交流重賞1勝)など、多くの金字塔を打ち立ててきた。
しかし、19年の43勝をピークに成績は下り坂で、20年35勝⇒21年14勝と、このところ低迷中だ。いったい、どうしたのだろうか。
不振の原因の一つは、2度にわたる左鎖骨骨折。20年2月15日の小倉で最初に骨折したときにはプレートを入れて患部を固定し、1カ月後には復帰。翌年の9月21日にはそれを手術して徐去。元の体で乗れるようになったと思われたが、10月17日の新潟で再度同じところを骨折してしまう。自分の骨の一部を移植する手術を行い1カ月半後には復帰するも、騎乗ぶりに精彩を欠いて結果を出せないでいる。
「もしかすると、思うように肩の筋肉が回らないのでいないか。気の強い彼女のことだから弱音を吐いたりはしないが、見ていて元気がないのが気になる」(競馬関係者)
本人は不振打開のため、3月の初めから期間限定で栗東に滞在。これにより関西馬に乗ることも徐々に増えてきたが、いまのところ結果が出ていない。そうした中、後輩の女性騎手がここにきてポンポンと勝っていくから、気が気でないだろう。
現在は、これまでに60勝をあげている得意の新潟で騎乗中。新潟は19年の第3回開催で9勝し開催リーディングとなったほどで、十八番の競馬場と言える。ここで何とか不振脱出のきっかけをつかみたいところだろう。
新潟名物・千直競馬でスタートを決めて、一気にラチ沿いに馬を持ってくるのが彼女の勝ちパターン。そういう競馬を見せて、存在をアピールしてもらいたい。
(競馬ライター・兜志郎)