とはいえ、ファンの期待は、秋のGIデビューであり、スポーツ紙もスクープを狙ってピリピリとしている。
スポーツ紙記者が明かす。
「菜七子人気は、相変わらずすごい。週の後半になると『来週の重賞に関西馬で乗るってことはないよな?』など、他紙に抜かれないように探りを入れているぐらいです。GI騎乗にしても、すでに後輩の武藤雅(20)が乗っているように、それほど難しい話ではなさそう。実際『菜七子の初GIが欲しい』と話す個人馬主はけっこういますから(笑)。そうした馬主へのマークも始まっています」
注目度が“半端ない”ことに加えて、菜七子騎手のエージェントである中村剛士氏が「今秋中にはGIデビューをと思っている」と話したことで、スポーツ紙の取材合戦は、より過熱しているようだ。
「いきなり、秋GI初戦のスプリンターズSや、秋華賞の可能性さえありますよ」(スポーツ紙記者)
中村氏は戸崎圭太(37)や内田博幸(47)を担当する敏腕エージェントだけに、どんなオファーが持ち込まれても不思議ではない。だが、専門紙記者は次のように予測する。
「現実的には、11月4日のJBC(ジャパンブリーディングファームズカップ)競走が最有力候補じゃないでしょうか。今年の開催場所は地方ではなく、京都競馬場。売り上げが横ばいのため、『訴求力の高いJRAで実施することで起爆剤にしたい』という地方競馬側の思惑がある以上、菜七子ちゃんの参戦は願ってもないことです。騎乗馬は中央の馬に限らず、地方馬とのコンビでもOKで、中村氏は地方競馬の元騎手。地方馬主や調教師と太いパイプを持っているだけに、可能性は高いと思いますよ」
地方競馬の祭典「JBC競走」は84年に創設され、「クラシック」「スプリント」「レディスクラシック」のGI3レースが行われるのだが、最も有力なのは、ダート1200メートル戦の「JBCスプリント」だ。
「彼女の成績を見ると、29勝のうち22勝がダート戦。距離別で見ても1200メートル以下で12勝をあげています。京都競馬場の経験が少ない点は不安材料ではありますが、ダート&短距離を得意としているだけに、GI初騎乗で初勝利というのも夢じゃないと思います」(専門紙記者)
この秋は、今まで以上に「菜七子フィーバー」が巻き起こりそうだ。