放送中のドラマ「この世界の片隅に」(TBS系)に対し、同作品の映画版から異例の発表があったという。アニメ映画「この世界の片隅に」の製作委員会が7月24日、公式ツイッターにて「当委員会は当該ドラマの内容・表現等につき、映画に関する設定の提供を含め、一切関知しておりません」と表明したもの。
このツイートは、ドラマ版にて「special thanks to 映画『この世界の片隅に』製作委員会」と表記されていることに対し、製作委員会側の見解を示したものとみられている。2016年11月に公開されたアニメ映画版は、邦画としては異例なほどのロングランを続けており、初公開からほぼ2年が経過したこの時期にも、全国各地で舞台挨拶を開催。8月6日には本作品の舞台である広島市と呉市でも舞台挨拶が行われる予定だ。
「この2都市での舞台挨拶は本作品にとっては“里帰り”であり、重要な意味を持ちます。その舞台挨拶には片渕須直監督に加え、主人公・すずの声を務めたのん(能年玲奈)も出席予定。つまり同時期にドラマ版の松本穂香と映画版ののんという、二人の『すず』が併存することになるわけです。いくらメディアミックスが一般化しているとはいえ、主人公2人が同時期に人前に登場するのは異例。この事実は映画版とドラマ版のあいだで、連携が取れていないことを示しているのではないでしょうか」(映画ライター)
TBSが制作するドラマ版は映画版を下敷きとしているのではなく、あくまで原作マンガを基にしたオリジナル作品という体裁だ。ただファンにしてみれば同じタイトルの作品であり、ドラマはドラマ、映画は映画と割り切るのは難しいはず。しかしそんなファンの思いを裏切る演出が、ドラマ版には施されているという。
「ドラマ版に対しては全10話という長さゆえか、演出が冗長すぎるとの批判もあります。それ以上に不評なのが各話のタイトル。第1話は『昭和の戦争のさなか懸命に生きた家族の愛と命の感動物語!』、第2話は『小姑襲来! 戦時下の広島波乱の新婚生活が幕を開ける!』というもので、この感覚が原作マンガやアニメ版からかけ離れていることは明らか。これでは視聴者が『原作やアニメ版に対するリスペクトがない!』と憤るのも無理はないでしょう」(前出・映画ライター)
ドラマ版については、アニメ映画版とはモチーフだけが共通の別物と捉えたほうがいいのかもしれない。
(金田麻有)