暑さで食欲は減退する一方だが、そんな時にアッサリ食べられる定番ランチが、冷たいそうめん。しかし、そんな夏の風物詩にもリスクが潜んでいた。
「問題は、食べやすいからといってそうめんばかり食べるような食生活を送ること。そうめんで摂取できるのは主に炭水化物です。食べ続けることで『夏型栄養失調』になる例も近年見受けられるようになりました。また、カルシウム不足から骨粗しょう症、亜鉛不足から味覚障害になる可能性も否定できません」(大谷院長)
そうめんだけでは腹持ちが悪いからと、大量に食べることで糖質過多になるケースもあるようで、
「エネルギー代謝効率を高める硫化アリルが含まれている、ネギなどの薬味も一緒に食べるといいでしょう。豚肉をめんつゆで煮込んでつけめん風にして食べるのも、ビタミンB1摂取に効果的です。副菜を準備するなどして、栄養バランスが偏らないようにしてほしいですね」(井部氏)
栄養面での不安を解消しても、実は「めんをつゆにつけてすする」という食べ方そのものが危ない、という一面もある。大谷院長が警鐘を鳴らす。
「すすった時に、めんつゆなどの水分の飛沫が気管に入り、そこに口内の雑菌が含まれていると、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあるのです。現在、日本人の死因の第3位が誤嚥性肺炎と言われています。人は50代頃からものをきちんと飲み込む力が弱まり、本来、流れ込むべき食道以外の気管に食べ物や液体が侵入してしまうことが増えるのですが、そうめんはそのリスクが高い食事と言えるでしょう」
ランチ一つとっても細心の注意が必要だとは‥‥。医療ジャーナリストは、日本の「温故知新」の食生活を勧める。
「例えばスイカに塩を振る、キュウリに味噌をつけるという食べ方は、水分と塩分を同時に補給でき、熱中症予防につながります。梅干しを食べると口の中がさっぱりし、殺菌効果もあると同時に食欲増進も促します。脂っこい現代食ばかり食べていれば、夏バテは避けられません」
こうも暑いとついつい手を伸ばしてしまいがちな、アイスクリームやかき氷などの氷菓子も、ほどほどにしたほうがいい。
「適量であれば外気で上がった体温を下げてくれますが、食べすぎはもちろんご法度。1日や2日おなかを下すくらいならまだしも、糖分の摂りすぎは糖尿病などの生活習慣病にモロに影響しますし、加齢とともに体温調節機能が低下するため、体を冷やしすぎたり、また暑さで体温が上がったりを繰り返すと、夏風邪の原因にもなります」(医療ジャーナリスト)
風邪は万病のもと。免疫力が低下したところでそのままポックリ‥‥とならないよう猛暑対策には万全を期したい。