オジ 中国の人は選挙がないことに誰も不満は持っていないの?
カンカ 生まれた時からそういう環境で育っていて、選挙がないのは当たり前のことだから、疑問に思ったりはしないのよ。
オジ じゃあ、選挙の経験はないんだ。
カンカ 小学校でクラス委員を決めたのが最後(笑)。
オジ 国のシステムが違うって、すごいことなんだな。
カンカ そうよ。一般的な民主主義では当たり前のことが、そうではないからね。でも、中国でも今年、民衆による直接選挙があったの。
オジ 何で?
カンカ 広東省のウカン村というところで、40年間村のトップに就いていた共産党の役人が、村の土地を勝手に売買したりして、不正や汚職がひどかったのね。それに怒った村民1万人が抗議デモをして、共産主義になってから初めての民衆による選挙が行われたの。
オジ 国のシステムとは違う方法を押し通すって、村の人たちのパワーはよっぽどすごかったんだな。
カンカ 最初はデモだったんだけどリーダーが警察に捕まった翌日に不審死をしちゃって。そしたらデモが大規模な暴動に変わって、それで省のトップが村まで来て調査をしたの。異例だけど村の人たちが求めていた村民代表を決める選挙をやることになったの。
オジ 選挙をしたことがない人たちに、選挙ってできるもんなのか?
カンカ 「選挙って何だ?」っていう基礎的なところから始まって、細かいことまで議論したみたいね。そうやって選挙が行われて、中国国内でもすごく大きなニュースになったの。それで、他の村でも選挙をさせろってたくさんデモが起きたんだって。ただ、その村以外では選挙は認められていないんだけどね。
オジ 1万人の欲求が国を動かしたんだな。
カンカ それでも選挙を経験したのは、13億人の中の1万人でしかないけどね。私は共産主義がいいのか民主主義がいいのか、正直わからないんだけど、少しずつ静かに変わりつつあるんだなって感じてるの。
オジ やっぱり、選挙をやって、民衆が決めたほうがいいと思うよ。官僚任せにしていてもいいことなんて起こらないんだから。
カンカ ただ、民主主義だと1つの法案を通すのに何年もかかるけど、共産主義では党がやると決めたら明日にでも実行するから。どちらにも、いい面と悪い面はあると思うよ。
オジ でもさ、その村の話を聞いて思うんだけど、選挙ができるってすごくありがたいことなんだな。
カンカ そうね。ただ中国で直接選挙をしたら、13億人もいるから大変なことになりそうだけど(笑)。
オジ 開票作業がとても面倒だろうな(笑)。