日本の卓球界が秘策に出た。8月18日に「アジア卓球競技大会」がインドで開幕するが、日本は男女ともにトップメンバーがこれにエントリーしなかったのだ。同時期に開催されるワールドツアー「チェコ・オープン」(8月21日開幕)に出場する。このアジア大会軽視の行動に、韓国、台湾などのライバル国はカチンときているという。
「日本のトップメンバーが出場するワールドツアーには世界ランキング上位の中国勢も出場します。ここで表彰台を得れば、世界ランキングは簡単に上がりますし、東京五輪出場の内定を早い時期に獲得できます。東京五輪を見据えた作戦ですよ」(体協詰め記者)
ワールドツアーにエントリーしたのは、女子は石川佳純、伊藤美誠、平野美宇、佐藤瞳、早田ひな。男子も日本勢トップの張本智和、同2位の丹羽孝希が出場する。これが、韓国などのライバル国がカチンときた理由で、と、いうのも、アジア各国は強豪・中国がチェコ・オープンにシフトするのを知っていた。
「今年のアジア頂点を目指す戦いは、日本対自国の選手になる」とにらみ、アジア大会で日本に勝って弾みをつけようとしたのだが、中国に続いて日本も「出ない」となれば、勝っても価値はない。今年のアジア大会は、ローカル大会に成り下がってしまった、というわけである。
「次のワールドツアーで日本に対するマークが厳しくなるかも」(前出・体協詰め記者)
中国エリアでも人気の高い石川、伊藤、平野の3人は特に標的にされそう。東京五輪を見据えての行動だが、平野たちはいらぬ敵対心も呼び起こしてしまったようだ。
(スポーツライター・飯山満)