今年上半期は、お笑い芸人の才覚が改めてフィーチャーされた。頭ひとつ抜けたのは、バカリズム。去年、初めて原作、脚本、主演を担ったドラマ「架空OL日記」(日本テレビ系)が、今年になって「第36回 向田邦子賞」を受賞。現在も原作、演出、脚本と活動の場を広げている。
そんなバカリズムと同じく、根暗で友だちが少なく人見知りだが、文壇界から注目されていたのはオードリー・若林正恭だ。
「初の紀行本『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』が、一般社団法人日本旅行作家協会が主催する『斎藤茂太賞』を受賞しました。この賞は、旅にかかわるすぐれた著書に授与されるもの。かねてから社会にうまく適合できないと公言していた若林は、一昨年、3泊5日でキューバを強行旅行して、そこで目にした世界格差を正直に書き綴ったものです」(芸能記者)
かねてから、演技力も高く評価されているカラテカ・矢部太郎も、快挙を成し遂げている。4月、「大家さんと僕」で、日本の漫画発展に貢献した人に贈呈される「手塚治虫文化賞」の短編賞を受賞したのだ。同じ建物の1階に住む現在88歳の女性大家さんとのハートフルエピソードを描いたエッセイ漫画で、芸人が同賞を獲るのは、1997年の創設以来初である。
「髭男爵・山田ルイ53世は、同じ一発屋芸人枠のレイザーラモンHGやムーディ勝山ほか、多くの仲間芸人を追ったノンフィクション『一発屋芸人列伝』で、『第24回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞』の作品賞を受賞しました。ドラマチックな内容で泣けると評判です」(前出・芸能記者)
芥川賞受賞作家のピース・又吉直樹を追走する芸人は、こんなにいるのだ。この流れはまだまだ続きそうである。
(北村ともこ)