連日の酷暑におののく平成最後の夏、プロ野球界に国民的英雄の驚愕の一報が走った。昭和史を燦燦と輝かせたスーパースターを重大な「異変」が襲ったのだ。まさにタブー視されるトップシークレット。大パニックとなったその全内幕とは──。
セ・リーグ独走状態の広島カープがマジック30を再点灯させた8月18日、デーゲームで行われた東京ドームでの巨人vs中日戦。エース菅野智之(28)が圧巻のピッチングで中日打線をシャットアウトした。その試合後ほどなく、スポーツ紙などの巨人担当記者が集結したのは、読売新聞本社内にある巨人の球団事務所だった。
その目的は、入院中の読売ジャイアンツ・長嶋茂雄終身名誉監督(82)の本当の容体を確認するためだった。スポーツ紙デスクが振り返る。
「ミスターが7月初旬から胆石のため入院中の身であることは、8月9日発売の『女性セブン』の報道で明るみに出たわけですが、その病状に関しては情報がほとんどなく、詳細をつかみかねていた。ところがこの日の夕方、『ミスターの容体が悪化したらしい』という情報が一部で流れ、報道陣の間に広まった。そのため、すぐに確認に走る必要があったのです」
ところが報道陣からの質問に対し、球団サイドの答えは、
「今のところ、あらためて何か発表することはない。何も心配することもない」
というニベもないものだった。球団関係者が明かす。
「それでも、一部報道陣が読売幹部に『もしかしてミスター、かなり危険な状態ということなんでしょうか』と詰め寄ると、『この2、3日はね‥‥』と言葉を濁したんです。つまり、『あと2、3日は大丈夫だが‥‥』という意味だったらしい。これでミスターが予断を許さない状況下に置かれていると察知したわけです」
昭和を飾った20世紀最後のスーパースターの不測の事態に直面し、報道陣は大きな衝撃を受けた。巨人担当記者によれば、
「まさに『すわ、一大事!』となり、いつ何時『まさかの事態』が起きるとも限らないと思ってしまうのも当然ですよ」
マスコミの中には先走るあまり、「追悼原稿」の準備を始めるところまであったという。それほどの驚きと混乱にパニック状態になったというのだ。
実はこの慌ただしい動きには伏線があった。「女性セブン」の記事が出る前日の8月8日、球団は突如、長嶋氏が病床にあることを発表。同時に、
「大変ご心配をお掛けしました。おかげさまで回復しています。今は静養に努めながら、昼は高校野球、夜は巨人戦をテレビ観戦しています」
と、長嶋氏のコメントも添えている。
「実はミスターは7月8日に北海道で行われた男子プロゴルフツアー『長嶋茂雄招待セガサミーカップ』を欠席している。みずからの名前が冠となっているこの大会には、最終日に姿を見せることが毎年恒例となっていただけに、体調がよくないのではと心配されていました。しかも、(8月8日の)コメントは『山口俊投手のノーヒット・ノーランには心が震えました。内海、吉川光、メルセデスの左腕3投手による対DeNA戦3連勝には元気をもらいました』と続いていた。これがかえって怪しさを演出したんです。いつも系列新聞の幹部がミスターのコメントを作成するのですが、今回はこれまでと違い、具体的な選手名を出して細かく表現するなど、逆に不審を抱かせてしまう内容だった。何か隠さなければいけないことがある、と勘ぐるのは当然です」(スポーツマスコミ関係者)
もちろん、不安をあおりたてる予兆は、これだけではなかった。